ファイターズ×セイコーマート スポーツキャラバン in 安平町

|
プロスポーツチームが町にやってくる!
地域のスポーツ・子ども育成の追い風に 株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、「ファイターズ」と言う。)が取り組む地域貢献事業として、「ファイターズ×セイコーマート スポーツキャラバン」(以下、「スポーツキャラバン」と言う。)が株式会社セイコーマート(以下、「セイコーマート」と言う。)との協力のもと、これまで11年にわたり取り組まれてきた地域住民との交流事業をリニューアルする形で2024年から開催されている。2024年度は6自治体を訪問する予定。5月19日に開催した安平町での開催を取材し、イベント開催の経緯やその土台となる地域の子ども育成やスポーツ支援の取り組みについて話を聞いた。
|
|---|
地域でプロスポーツに触れる機会
競技を楽しみ続けられる環境を
また、地域の子どもたちがスポーツを続けられない現状も指摘する。「指導者は、昔は怒ったり怒鳴ったりする指導を受けてきましたが、今は同じようにすると辞めてしまう。また、4月生まれの子と3月生まれの子の体格や体力はかなり違い、早生まれの子が無力感で辞めてしまいます。実際、野球選手は4月から7月生まれが多いんです。最近は、少子化の上、塾や習い事を優先する子が多いこともあり、地域で野球やサッカーのチームが作れないところも増えています。そういった状況を踏まえ、勝ち負けではなくスポーツの楽しさを、子どもに伝えると同時に指導者や保護者にも伝わるような指導を展開しています」。
その中で、野球を経験する利点としては、「投げる、打つ、走る、守る、 滑るなど動きが36種類あるので、それを身に付けると他の競技でも活躍しやすくなります。他のスポーツを楽しむためにも、野球を楽しんでほしいと私たちは考えています」。
実際にプロのコーチから指導を受けた子どもや保護者からの反響も大きいと言う。コーチとして関わる元選手の浅沼寿紀氏は、「30分の指導でも投げられる距離が大きく変わる子も多く、子どもの吸収力には驚かされます。やはり、まずはスポーツの楽しさを感じてもらい、そこから自分の好きな競技を選んで熱中してほしいなと思います」。同じくコーチの𠮷田侑樹氏も、「保護者の方からは『こんなこと教わったことない』とうれしいお声をいただいています。できなくても楽しめる指導を心掛けると、子どもたちの笑顔が多いなと感じます」と手応えを感じている。
今後の取り組みとして、「私たちはスポーツエンターテインメントの会社で、なおかつグループ会社のトップは日本ハムという食品会社ですので、健康は重要なキーワードです。実際、地域を訪問した時に小学生だった子で現在選手になった者もおり、そういった種を植える活動を地道に行っていきたいと考えています。一つの都道府県に、野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールのトップリーグがある場所はなかなかないと思いますので、その資源を生かして北海道の子どもたちの未来が明るくなってほしい」と立石氏は力を込める。



プロの指導に触れる楽しい一日
安平町で開催したスポーツキャラバンでは、午前中は子どもの運動教室として、公募で参加した小学校低学年の子どもが野球、サッカーの基礎練習を体験した。小学3年生の参加者の保護者は、「子どもがサッカーのクラブチームに入っているので、チームを通してイベントを知りすぐに申し込みました。親が野球が好きで体験させたいという思いがありました。プロのコーチに教わる機会はなかなかないので、参加できてよかったです。子どもも楽しんでいました」と話す。参加した子どもも、「コーチがわかりやすく教えてくれて、ゴールも何度か決められて楽しかった」と笑顔を見せた。

午後は町の希望により野球、サッカーの少年団に所属する小・
中学生を対象に教室を開催。野球教室の前には、北海道野球協議会(以下、「協議会」と言う。)理科学部門の整形外科医らによる肘検診も行った。成長期の小学4年から中学2年くらいに多い、肘の外側に起こる「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」を早期発見するために、簡易エコーで検査を行うもの。この疾患は野球をしている子どもの50人に1人ほど発生し、初期は自覚症状がなく、悪化すると元に戻らなくなるが、初期であれば手術をせずに治癒できる。原因としては野球の動きだけでなくさまざまな要因がある。ファイターズはスポーツ教室などで地域を訪問する際、協議会の協力を得てこの肘検診を行っている。協議会に所属する整形外科医の沼口京介氏は、自身も野球を経験した縁でこの活動に協力。「この疾患に対する理解が進めば、早期に発見できて障害で競技を断念する子どもが減らせると思います。病院に行かなくても手軽に検査ができる良さを生かし、さまざまな場所で検診を行っていければと思います」。
また、午前・午後に分けて、町内の2店舗のセイコーマートを訪問し、杉谷拳士氏とマスコットキャラクターB・Bらとの写真撮影などを行い、集まったファンを沸かせた。セイコーマート企画本部の三浦公裕氏は、「ファイターズのファンは全道にたくさんいらっしゃいます。私共の店舗も全道にあることを生かし、お客様への恩返しの気持ちを込めて、ふれあいの機会を作り楽しんでいただけたらと言う思いで開催しており、ファイターズの後援会や自治体の協力も得て実現できます。このように店で楽しみが増える取り組みを通して、北海道の地域を元気にしたいと思います」と語る。



NPOが支援する町のスポーツ活動
安平町は、旧早来町と旧追分町が2006年に合併してできた、人口7,317人(2024年5月末現在)の町。農業、酪農が盛んで、競走馬の産地としても知られる。2018年9月に胆振東部地震で大きな被害を受け、町全体を挙げて復興に取り組んできた。
安平町がスポーツに取り組む土台として、少年団の活動が挙げられる。野球、サッカー、剣道、チアリーディングなどの少年団が活動しており、それらのチームはすべて、NPO法人アビースポーツクラブ(以下、「アビースポーツクラブ」と言う。)に所属しているのが特徴的だ。
アビースポーツクラブは、胆振東部地震の際に大きな被害を受け、学校の施設が使えなくなり、サッカーの練習場が自衛隊のヘリコプターの拠点になるなど、地域でスポーツができなくなる危機を感じた住民が有志で立ち上げた。文部科学省が推進する「総合型地域スポーツクラブ」として活動しており、少年団やクラブチームなど12種目16団体が所属し、その活動の支援を行っている。そのほか、スポーツに親しむイベントの開催、高齢者の運動教室、指導者養成や指導者派遣にも取り組んでいる。町ではスポーツ支援を担う役割として位置付けており、地域おこし協力隊員を2人派遣している。町で行うスポーツイベントの協力も行っており、今回のスポーツキャラバンでも受付業務や、参加者を募集する際に会員および地域住民への周知を行った。
現在、文部科学省で進めている部活動の地域移行では、アビースポーツクラブが町から委託を受けて地域クラブへの移行を進めており、2025年度末をもってすべての部活動を廃止する計画。すでに陸上競技、野球、バレーボール、剣道の4種目がクラブチームに移行しており、北海道の中でも先行事例として注目されている。
クラブマネジャーの鳥實裕弥氏は、「部活動を地域で担
うことは、先生方の異動に関わらず地域に根差した活動が展開されることや、先生方の働き方改革にもつながるため、メリットが大きいと思います」と話す。地域移行は町内だけでなく、近隣の厚真町などのクラブチームも含めて進めており、「広域で考えていかないと持続性はないと考え、できるところから取り組んでいる状況」だと言う。今後は、運動部だけでなく文化部の地域移行にも携わる意向。
町のスポーツ環境としては、早来地区にサッカーなどができる芝生の広場があり、ときわ球場、柏が丘球場の2つの野球場があるなど、恵まれた環境。スポーツキャラバンの野球教室に参加した保護者によると、「小さいころからスポーツをするのに恵まれた環境。周りにも小学生のころから少年団に入りスポーツに触れる子どもが多く、習い事感覚で少年団活動をしている。親の関心も高い」という。
子どもの意見を大切にするまち
安平町は、「育てたい 暮らしたい 帰りたい みんなで未来へ駈けるまち」をスローガンとして掲げ、子育て・教育に力を入れている。ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)が提唱する「子どもにやさしいまちづくり事業」(CFCI=Child Friendly Cities Initiative)に取り組み、2021年12月に日本で初めて「日本型子どもにやさしいまちモデル」実践自治体として承認された。取り組みの内容として、町教育委員会学校教育グループの笹山陽平氏は「子どもにやさしいまちづくりとは、『子どもの権利条約』に基づいて権利を保障する取り組みです。安平町では、子どもの意見表明権を大切にしています」と話す。
例えば、胆振東部地震で被害を受けた早来中学校を建て替え、2023年度に小中一貫の義務教育学校として開校した安平町立早来学園においてもCFCIの理念が取り上げられている。建設の段階から「みんなの学校をつくる会」を立ち上げ、町民、特に子どもの意見を取り入れてきた。他にも、教育委員会で「まちづくり事業」を行い、子どもがまちづくりの課題を学んで提言する取り組みを行った。その中で、「役場が堅苦しい雰囲気なので行きづらい」という意見をもとに、リラックスできるようなBGMを流したり、一年を通してネクタイを省略するナチュラルビズを取り入れたりといった取り組みにつながっている。スポーツの分野でも、部活動の地域移行により、「より子どもと保護者の声を取り入れた運営を進めていけるようになると良いと思います」と笹山氏。
子どもの意見と自主性を尊重する安平町で、今回のスポーツキャラバンの経験を経て、さらにスポーツ活動が活発化することが期待される。


お問い合わせ
総務部事業振興課

