ここからサイト内共通メニュー

ここから本文です。

北海道の国保 令和6年(2024年)7月号

ー 時流 ー

ケア従事者の職業倫理をめぐって

   北海道大学名誉教授 前沢政次  

 
 ケアを必要とする人が増え、しかも求められるケアは多様で、その対応の仕方は混迷の中にある。
 
 最近介護支援専門員の研修カリキュラムの改訂があり、それにともなってテキストの改訂がなされた。筆者自身もあるテキストの中で、介護支援専門員の倫理部分を執筆するように依頼され、原点に立ち返って、さまざまな参考図書を読み直した。
 
 介護支援専門員が有すべき倫理について検討した際に、直面したのはまず「倫理と道徳、法令遵守の違いやそれらの関係性」である。多くの文献を調べたが、法令遵守と道徳・倫理の区別はつきやすいが、道徳と倫理はほぼ同じ意味であるという文献が多かった。執筆が終わってから手にした近内悠太著『利他・ケア・傷の倫理学』(晶文社 2024年)の中で、ようやく道徳と倫理を区別している文章に出会った。
 道徳と倫理との違いとは、単純明快、強制と自由との違いである。「してはいけないからしない」これは道徳であり、「したくないからしない」これが倫理である。(近内、同書)

「罰せられるからしない」これは道徳であり、「いやだからしない」これが倫理である。
(池田晶子『言葉を生きる』筑摩書房 2022年)
 
 介護支援専門員に倫理が問われるのは、認知症をはじめとする人とのコミュニケーションにおいてであろう。認知症の人に対して人としての価値を貶める行為としてはトム・キットウッド(イギリスの社会心理学者)が次の17点を挙げている。①ごまかす②権限を与えない③子ども扱いする④脅かす⑤レッテルを貼る⑥偏見を持つ⑦急がせる⑧訴えを退ける⑨のけ者にする⑩もの扱いする⑪無視する⑫無理強いする⑬ほっておく⑭非難する⑮妨害する⑯あざける⑰誹謗する、である。これの問題に気づかずに、ケアに従事している人のなんと多いことであろう。それもほとんどが無意識のうちに行われている。

 介護支援専門員にとっては、初回の面接などにおいても相手を傷つけてしまうことが多い。また、エンドオブライフケアとして死の問題が取り上げられ、アドバンスケアプランニング(人生会議)と称して、これらの話し合いのプロセスを持つことが推奨されている。当事者とともにゆったりと話し合いをすることは大切なことであるが、ここでも当事者ファーストでないことが日常茶飯事にある。

 特に診療の場面では、環境に馴染めずにせん妄を起こすことが高齢者にはしばしば認められる。薬剤で抑制することやミトンや抑制帯などを使用することも多い。そもそも患者さんが望まない診療行為を実施することは、ある意味では虐待となってしまうのである。単なる命の延長ではなく、満足感の高い暮らしをしていただくためには、どのような場所でどのように過ごすことが望ましいのか、それらについて十分な話し合いが必要である。

 体が不調である場合、患者自身がどこまで医療によってそれを癒したいと考えているのか。多少不調であっても、自分が自由に判断して、ゆったりと生活ができることを望む人は多いのではないか。当事者の声を聞きながら、なかなか理解し得ない部分までケアの質を深めていく必要がある。まずケア従事者は、自分の内面に潜んでいるスティグマ(偏見差別の根幹にあるもの)やパターナリズム(父権主義)と向き合わなければならない。

ー 涼風清談 ー 

和寒町


 和寒町は、北海道の中央よりやや北部に位置し、名寄盆地の最南端、塩狩峠の麓に広がり、東西に23.6km、南北に17.7km、面積225.11平方kmを有する緑豊かな町です。

 基幹産業である農業では、水稲を主要作物に作付面積・収穫量ともに全国トップクラスを誇る南瓜や、雪の下で保存することによっておいしさを増した和寒の越冬キャベツが全国に広く知られています。

 また、小説「塩狩峠」の作者である作家・三浦綾子さんの旧宅を復元した「塩狩峠記念館」では、昭和30年代に執筆活動をされていた生活空間を再現しており、国内外から多くの方々が訪れているほか、毎年9月に開催される「全日本玉入れ選手権」では全国各地から選手が集結し、独自のルールにより100個のボールをバスケットに入れるタイムを競う競技で熱戦が繰り広げられています。

 さて、本町の人口は令和6年3月末現在で2,860人1,484世帯、国民健康保険の加入者は844人496世帯となっております。加入率は被保険者数で29.5%、世帯数で33.4%となっており、65歳以上の加入者数は364人と加入者全体の43.1%を占めている状況です。

 このような中、当町では令和3年度に「第6次和寒町総合計画」を策定し「住んでいて良かった、住み続けたい」と思えるまちを目指すとともに、町民一人ひとりの健康づくりの意識高揚を図りながら、保健事業のさらなる充実、町立診療所における安心して利用できる医療サービスの提供に取り組んでいます。

 なお、本町では、昭和26年に開設した町立病院(30床)を令和3年4月から無床の町立診療所に再編しておりますが、詳しい経過などは「北海道の国保」令和4年1月号に掲載されております。

 当町の課題としては、令和5年度に策定した「第3期保健事業実施計画(データヘルス計画)・第4期特定健康診査等実施計画」において、特に高血圧、糖尿病からつながる疾患(脳血管疾患・虚血性心疾患・腎不全)が多い状況にあることから、医療機関への受診勧奨や保健指導を進めていくことに加え、生活習慣病の重症化による医療費や介護費用等の実態を広く町民へ周知することで特定健診における血糖、血圧、脂質の検査結果の改善を目指しています。

 さらに、特定健診、特定保健指導の実施率の向上を目指し、健康診査の受診費用の一部助成や健康診査を継続して受診していただいている方に対して、健康グッズを贈呈する「わっさむ健康づくり応援事業」を実施し、病症の早期発見につながるよう努めているところです。

 また、本町の特別養護老人ホームと老人デイサービスセンターは、経年による老朽化が進んできていることから、建て替えを検討してきましたが、今後の人口減少を見据え、高齢者はもとより障がいのある方や子どもたちなど、多様なニーズに対応し得る機能とともに、本町の社会資源を有効に活用できる複合的な機能も併せた計画が必要と判断し、令和5年度に「町民サミット」や「ふくしのまちづくりラボ」を開催するなど、様々な分野の方々からいただいた意見やアイデアを取り入れた「ふくしのまちづくり基本構想」を策定いたしました。

 今後は、町民の方々や事業者との連携・協力のもと、令和9年度の民設民営による新施設竣工と構想の実現に向けて、誰もが住み続けられるふくしのまちづくりに取り組んでまいります。

斜里町

 

 

  世界自然遺産「知床」を有し、オホーツク海沿いに100kmを超える海岸線を持つ斜里町は、オホーツクブルーと、日本百名山「斜里岳」「羅臼岳」の美しい景観を擁する人口約1万600人の町です。

 私たちは、日本の最北東端の国立公園である「知床国立公園」内の開拓跡地の保全と原生林の再生を目指し、しれとこ100平方メートル運動をはじめとする自然保護活動を積極的に推進し、町内外を問わず多くの方々とともに原生の森づくりを進めています。

 基幹となる産業は、斜里岳の裾野に広がる斜里平野の農地を生かした農業と、冬期間オホーツク海を埋め尽くす流氷がもたらす豊かな海での漁業、大自然を満喫できる観光業となっています。

 観光については、恵まれた自然環境の中、ガイドツアーやトレッキング、シーカヤックと言った知床の大自然を活かした自然体験活動・スポーツが行える環境が充実しており、ネイチャー体験の愛好者や専門家も多く集まる地域として全国に知られています。さらに、知床半島の自然を撮影する写真愛好家も多く、近年では蜃気楼・幻氷の観測場所として世界的にも注目を集めています。

 また、「美味しい自然」「楽しい自然」を創造するため、地元食材にこだわった知床しゃりブランド事業推進、平成27年からシンボルキャラクター「知床トコさん」を前面に出した知床の新たな観光イメージづくりを展開していますが、現在は観光分野だけではなく、農業・漁業・商工業・福祉・テレワークなど様々な分野で「知床トコさん」を活用した地域ブランディングを進めております。

 国民健康保険においては、令和6年5月末現在1,669世帯、3,090人の加入で加入率は29.1%、令和4年度の特定健康診査受診率は29.4%となっています。健康課題としては車で移動する機会が多いことから運動習慣がない方の割合が多く、特に男性において肥満傾向にあるため、生活習慣病の重症化につながる懸念があります。そのため、住民が健康づくりに興味を持ち、参加・継続して、より健康寿命の延伸が得られることを目的として、令和元年度よりウォーキングや通いの場におけるいきいき百歳体操の取り組みに応じて、町内の商店街で利用できるポイントを付与する「しゃり健幸ポイント事業」を開始し、健康状態の向上につながる習慣を楽しみながら身に着ける保健事業を展開しています。直近では、参加者が1,000人を超え、毎年拡大しています。今後も町民の健康につながる保健事業を実施し、健康増進を図ります。

 令和6年度は、知床国立公園指定60周年、また、令和7年度は世界自然遺産登録20周年を迎え、2か年にわたり各種記念事業を実施します。斜里町の基本理念「みどりと人間の調和を求めて」のもと、引き続き斜里町の魅力を発信し、斜里町を訪れる多くの皆様に、恵まれた自然環境を「見て」「感じて」「学んで」頂けるよう努めていきます。

むかわ町

 

 むかわ町は、平成18年に「鵡川町」と「穂別町」が合併し誕生しました。道央圏の南方、胆振総合振興局管内の東端に位置し、南部は太平洋に面し、北部の三方は日高山脈系の山々に囲まれ、その山々に源を発する長さ135㎞の清流、一級河川「鵡川」が南北に縦走し、森林(もり)・川・海、そして平地と多彩な自然環境に恵まれています。

 当町の人口は令和6年5月末現在7,344人、4,106世帯。このうち国民健康保険加入者は1,958人で人口に対する加入率は26.66%、加入世帯は1,217世帯で、全世帯の29.64%となっています。他の自治体と同様に高齢化が進み、医療の高度化や被保険者数の減少等による1人当たりの医療費の増加が懸念されています。

 現状として、保健事業により予防可能な重篤な疾患である「心疾患」、「脳血管疾患」、「腎不全」はいずれも死因別死亡者数の上位に位置しており、また、重症化した生活習慣病に至った人は、「高血圧症」、「糖尿病」、「脂質異常症」といった基礎疾患を保有していることが多く、生活習慣病対策が重要であるといえます。

 こうした背景を踏まえ、被保険者の健康課題を的確に捉え、課題に応じた保健事業を実施することにより、健康の保持増進、生活の質(QOL)の維持及び向上を図り、結果として医療費の適正化にも資することを目的に、新たに第3期データヘルス計画及び第4期特定健康診査等実施計画を策定したところです。
 
 計画に掲げる目的・目標の達成にむけて、特定健診や特定保健指導等の継続実施のほか、メタボ該当及びメタボ予備群者の減少につなげるための若年者健診の実施や健康づくりへの行動変容を促すきっかけとする健康むかわチャレンジ事業等の取組を展開し、健康増進・健康寿命の延伸に努めてまいります。

 町では現在、平成30年の震災からの復興・創生にあたり、穂別、鵡川両地区の「まちなか再生プロジェクト」として、復興拠点施設等整備事業を進めております。

 まず、穂別地区の「復興拠点施設等整備事業Ⅰ(いち)」では、復興のシンボルでもあります、ハドロサウルス科恐竜の全身骨格化石、カムイサウルス・ジャポニクス、通称「むかわ竜」の魅力を最大限に活かすための新博物館の建設をはじめ、多くの人々が集い、新たな交流を生み出し、世代を超えて未来へとつなげていくことができる温浴カフェ、まちなか交流拠点施設の整備を進め、むかわ町全体の復興創生・地域活性化、持続可能なまちづくりを促してまいります。

 また、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による大規模被災を想定し、発災後、迅速かつ着実に復興できるよう、復興の基本方針及び復旧・復興に係る体制など、復興に向けたまちづくりに関することを平時から町民・事業者・行政で共有するための計画として、道内自治体では初となる「事前復興計画」の策定にも着手しております。


 引き続く、少子高齢化、人口減少など厳しい状況におきましても、「人と自然が輝く清流と健康のまち」を当町のまちづくりの普遍の理念とし、まちの将来像「人とつながる、笑顔でつながる、未来につながるまち むかわ」の実現を目指し、時代の変化に的確に対応できる持続可能なまちづくりに向けて、各種事業・施策の充実を図ってまいります。

本別町

 


 本別町は北海道十勝平野の東北部に位置する人口約6,100人の町です。町の中心部を走る国道242号線は、道東自動車道本別IC本別JCTを有し、釧路方面や札幌などの道央・道東圏を結ぶ、交通や流通の要衝となっています。内陸性特有の気候で、夏は晴れの日が多く、冬は低温・乾燥した日が続き、一年の寒暖差が大きいという特徴があります。

 基幹産業である農業は畑作と畜産が盛んですが、特に畑作では、小麦や馬鈴薯、ビート、豆類などの良質で安心・安全な農産物が地域経済を支えています。中でも、「日本一の豆の町」と称されるほど高い評価を得ている特産品の豆類は、納豆や豆腐などの大豆製品、味噌や醤油などの調味料、羊羹や甘納豆、最中などの菓子類を始めとした、多くの製品が町内で製造されています。特に、本別町発祥の中生光黒大豆を原料とした「キレイマメ」ブランドでは、原料となる豆の栽培から製品づくりまで、消費者の美容と健康を支えることをテーマに多種多様な製品を生み出し、道内はもとより全国へ発信しています。

 本別町では関係人口の創出・拡大のため、地域資源を活用した観光にも力を入れています。市街地近くにある自然豊かな「義経の里・本別公園」には、ゴーカートやボート、アスレチックといったアトラクションのほか、コテージやキャンプ村などの宿泊施設や、シャワーボックス(コインシャワー)も併設されており、年間約11万人が訪れる一大アミューズメントエリアとなっています。また、春にはエゾムラサキツツジやエゾヤマザクラが咲き誇る「本別山渓つつじ祭り」、夏には渇いた喉を潤す「樽生ビアー彩」、秋には本別町最大のイベント「きらめきタウンフェスティバル」、冬には豆の町ならではの奇祭「ほんべつ豆まかナイト」といった四季折々の催しが開かれ、町内外から訪れる人がにぎわいを創り出しています。

 本別町の人口は、令和6年5月末現在で3,385世帯・6,126人となっており、そのうち国保加入の状況としては、943世帯(27.86%)・1,591人(25.97%)となっています。町民全体に占める国保世帯数・被保険者数の割合はおおむね3割弱で推移してきていますが、町全体の人口減少に伴って減少傾向にあります。一方、国保運営では令和12年度の全道統一保険料の実現を見据えた税率改正が課題となっています。この間、「町民に負担を強いる国保運営はしない」という方針を掲げ、長年に渡り国保税率は据え置きとしてきました。そのため、標準保険料率からは大きくかけ離れたものとなってしまっており、今後大幅な改定を余儀なくされています。本別町では、令和12年度までに国保税率を複数回改定することで、全道統一保険料となった際の被保険者への影響を少しでも小さくするよう検討を行っています。

 本別町では、将来の世代が永続して営みを継続できる社会の形成を目指すため、令和3年3月に「第7次本別町総合計画」を策定し、10年後のまちの将来像を「心を合わせて みんなの笑顔を 未来につなぐ」と定めました。その後、官民協働で持続可能なまちづくりをすることを目標に、二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を令和6年3月に宣言し、令和6年5月には内閣府によりSDGsの理念に沿ったまちづくりに取り組む「SDGs未来都市」に選ばれ、今日に至っています。10年後も輝き続けるまちであるために何をすべきか、引き続き町民一丸となって、今後も取り組みを進めてまいります。


ー 特集 第38回地域医療現地研究会 ー

6月21日・22日、第38回地域医療現地研究会がホテル日航ノースランド帯広で開かれ、全国から160名を超える医療・福祉関係者らが出席した。メインテーマは「大空と大地の中で育もう 地域包括医療・ケアの未来〜住み慣れた地域で完結する地域医療を目指して〜」。1日目は、施設視察研修として足寄町の足寄町国民健康保険病院及び高齢者等複合施設「むすびれっじ」などを視察。2日目は全体討議を行い、高齢化や過疎など課題先進地域と言われる北海道の町村部の取り組み事例を通して、未来の地域医療のあり方について考える時間となった。

主催/公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会 公益社団法人国民健康保険中央会
   北海道国民健康保険診療施設連絡協議会 北海道国民健康保険団体連合会

 21日の開講式、主催者代表挨拶では、公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会会長の小野剛氏が「今回のテーマは厳しい環境の中で地域包括ケアを実践する国保直診のありたい姿に直結する。足寄町の視察を今後の地域医療を考える上でぜひ参考にしたい」、公益社団法人国民健康保険中央会理事長の原勝則氏が「少子高齢化や人口減少、過疎化など社会状況が変化する中で、工夫して地域医療、介護の確保に取り組む施設や地域を視察することで課題解決のヒントを見つけ活用していただきたい」と述べた。

 また、概要説明では、足寄町国民健康保険病院院長の村上英之氏から施設視察研修先の概要について説明があり、その後バス4台で足寄町へ移動。道中、広大な牧草地を必要とする放牧酪農を営む佐藤弘子牧場を見学し、足寄町が「日本一面積が大きい町」であることを体感。続いて、北海道立青少年体験活動支援施設ネイパル足寄にて昼食及び特産品である放牧酪農チーズの試食を楽しみ、施設視察研修先である足寄町国民健康保険病院と、高齢者等複合施設「むすびれっじ」を視察した。施設視察後、足寄町の特産物である「らわんブキ」を生産する鳥羽農場にて足寄町農業協同組合と足寄農畜産物加工開発研究会が提供するらわんブキ料理の試食を行い、足寄動物化石博物館などを見学した。帯広市に帰着後は会場のホテルにて交流会が開催され、足寄町雌阿寒太鼓保存会の演舞や歌手の松山千春さんのビデオレターが披露された。

 

 翌22日は、全体討議として十勝地方の医療関係者が実践発表を行った。以下に、全体討議の3名の発表要旨を掲載する。

職員と住民が一体となり、病院の財政改革を実現

 病院が存続しない限り、住み慣れた地域での医療完結はあり得ない。当院が取り組んできた病院存続のための改革を紹介する。

 当院は2000年頃まで超優良経営だったが、12年から7年連続で収支赤字となり、17年には銀行から融資を受けざるを得ない状況にまで陥った。町民に必要とされる病院に変わらなければ経営も改善しないとの考えで院内改革は始まった。20年に私が院長に就任した際、改革を進めるために「できることから始めよう」から始まる経営理念を作成した。

 経営コンサルタント(NPO法人病院経営支援機構)の力を借り、院内の部門間や病院内外との意思疎通を図ることから始まった。そして町民にも芽室病院をもっと知ってもらおうと自前の広報誌やSNSを活用したり、志摩市民病院を参考に病院まつりも開催した。

 職員の横のつながりを作るために「できることから始めようプロジェクト」を始めた。鹿児島県の出水総合医療センターをお手本に、多職種が各自、自発的にワーキンググループを結成して企画や実行を行うというものである。部門を超えて共に活動することで、仕事でも互いに助け合ったり問題の解決を相談したりするように変わってきた。

 次に、「自律経営プロジェクト」を導入した。これは部門別の原価管理会計システムであり、いわば縦の経営改善策である。各部門の活動成果(収益)を数字でわかりやすく示すことで職員の経営参加を促し、ボトムアップで環境変化に耐えうる経営基盤をつくるというもの。島根県の公立邑智(おおち)病院から指導を受けて導入した。このシステムで職員それぞれの経営感覚が養われたうえに、改善のためにさまざまな提案がなされ勤務体制も改善してきた。部門のみで解決できないことは連携が必要だが、先に横のつながりができていたことは大きかった。横のつながりと縦の改革が組み合わさって初めて成果につながったと感じている。

 20年からはコロナの補助金の恩恵もあり黒字となっているが、改革の成果としては医業収益が増加している。しかし、現状に満足していては停滞につながると思っており、遠隔医療やセル看護提供方式を導入するなど、これからも改革を続けてゆく。

 当院には、「公立芽室病院をみんなで支える会」がある。当院が医師減少で大変だった2011年に町民が自ら立ち上がり作られた会である。病院を守るために住民がすべきことを考えて、非常に強い思いで活動してくれている。多岐にわたる活動があり、毎年町民向け講演会を企画され、テーマを決めて当院のさまざまな部門のスタッフが講演し、町民とつながる機会をいただいている。2023年は「最期を自宅で過ごしたい」というテーマで複数のスタッフが講演を行い、逆に実際に在宅看取りを経験したご家族の体験談を聞かせていただいたり、毎年町民にとっても病院にとっても有意義な機会である。

 訪問診療・看護・リハビリを拡充する目的で、訪問車両購入のためのクラウドファンディングも行い、目標の600万円に対し687万1,000円の寄付をいただいた。そのうち65%は町民が直接病院に持参され、いかに病院が町民に支えられているかを実感させられた。これからも、町民の信頼を得られる病院であり続けられるよう努めていきたい。

医療者として、地域の魅力と元気を次の世代に

 斜里町出身の私は大学卒業時、家庭医を育てる医療法人北海道家庭医療学センター設立を機に家庭医の道を目指そうと入職。2001年に当院に赴任し翌年所長に就任した。3年前から更別村と中札内村、隣り合う2つの農村の地域医療を、家庭医療専門医や若手の専攻医、私を含め5.5名の体制で一体的にマネジメントしている。そこで、2村の地理的な条件や医療環境を前提に、私がどのようなビジョンを掲げて医療を行っているか、そこからのまちづくりへの展開について紹介する。

 外来医療では、地域のかかりつけ医として乳幼児から高齢者まで、外傷からメンタルヘルスまで幅広く対応している。救急医療は24時間対応を20数年続けており、「行けばなんとかしてくれる」という感覚を住民の皆さんも持っている。入院医療は、帯広市の高次医療機関と地域の橋渡し、退院支援に力を入れ、多職種と連携している。在宅医療はグループホームを中心に、個人宅への訪問診療もICTを利用した在宅医療介護の連携ツールを活用し、密な情報共有を行って、自宅での看取りにも対応してきた。

 また、北海道家庭医療学センターの総合診療・家庭医療専門研修プログラムの研修施設として、若手医師の指導も長年続けている。

 この20数年間に診療所での取り組みによって、町のありように変化がみられるようになった。かかりつけ医として幅広い世代の住民を診て、医療、介護、教育の分野の人と関わってきたことで、地域の多彩な人間関係が築かれ、地域医療に対する深い学びが育ってきたと感じているし、若手もそれに関心を示してくれるようになった。そして、地域の役職を担う中で、地域医療に対するビジョンを住民の皆さんと共有していくようになった。

 私が地域で語るビジョンは、「地域を元気なまま残したい」というもの。高齢化が進んでも、サービスを利用しながら健康な状態で長く過ごせる地域を目指したい。そのためには、高齢者の相互扶助や社会参加を進める状況が生まれたらと考えている。このビジョンが共有されていくことで、関係者の献身的な活動によって地域をより良く変えていく人たちが現れ、実際のまちづくりにつながると思う。

 例としては、在宅医療・介護連携推進事業の取り組みと歯科医師の誘致、ICTを利用した医療介護連携システムの導入、さらに「生涯活躍のまち構想」で、障がいのある方や高齢者などの居場所づくりが挙げられる。

 また、デジタル田園都市国家構想交付金を得られたことで、島根県の会社からコミュニティナースの若者が3人来てくれ、独立して村内に株式会社を立ち上げた。人と人をつないで、相互の助け合いを生み出すような彼らの仕事に私も注目している。他にも、23年に始まった2村共催の介護入門者研修がある。これら一つひとつに取り組んで、地域を耕していきたい。

 どんな地域にも魅力があり、それを元気なまま次の世代に託したい。地域の家庭医としての私のビジョンを共有することで、地域に多彩な変化をもたらし人材が育成されることを期待している。

地域連携で介護予防、在宅ケアの支援を

 日本一の広さを誇る足寄町は、高齢化率が高く、その対策が重要な課題となっている。私たちは、医療を中心に患者に必要な状況を見極め、必要な居場所で満足できるケアを提供する地域包括システムを構築している。当院では、帯広市などの専門病院と連携しながら、患者の回復期と生活期を住み慣れた地域で安心して過ごせる地域完結型の地域医療を行っている。

 2014年に高齢者等複合施設「むすびれっじ」を設立。認知症高齢者グループホーム、地域交流施設、生活支援長屋、小規模多機能型居宅介護施設を設置し、それらを自由に行き来できる。町オリジナル施設の生活支援長屋は、高齢者や障がい者が在宅復帰や冬期、農繁期など支援が必要な時に介護度に関係なく一時的に入所でき、さらに近接する公営住宅の住民とも地域交流施設で交流できる。
 足寄町では現在構築している地域包括ケアシステムと健康寿命を伸ばす施策を掲げ、限られた医療機関の人材を支援して在宅医療へいかにシフトするか、高齢者の社会参加をいかに支援していくかが重要と考えている。

 その中でリハビリテーション(以下「リハビリ」という。)の役割は非常に重要である。心身の機能を向上させ生活環境を整え、地域生活を可能にするためにも、救急から在宅支援に至るまで継続的なリハビリが必要と考えている。キーワードは「連携」「在宅」「地域」。当院ではリハビリテーション科の業務内容として9つの業務を挙げている。中でも短期集中リハビリ入院は、機能が低下する寸前に入院し、集中的な管理を行って、在宅に戻る取り組みである。その時期を見極めるため、保健師やケアマネジャー、家族との連携をとっている。

 また、入院患者には家族や介助者などと行うリハビリカンファレンスを重視し、在宅生活を可能にするプログラムを検討している。退院前の患者には、理学療法士、ケアマネジャー、福祉用具業者と一緒に在宅訪問をし、安全に過ごせるように対策を立てている。家の状況に合わせて動作指導や、手すり・スロープの設置など環境整備を適切に行うことで、スムーズな在宅生活を可能にしている。当院では、介護施設へのリハビリ支援も行っている。我々理学療法士が介護施設に出向き、介護士に運動や動作の指導を行い、リハビリ難民をつくらない対策をしている。

 足寄町では、当院が唯一の訪問リハビリ対応施設なので、リハビリが必要な家庭にできるだけ行くようにしている。やはり家で過ごすと患者の表情も柔らかくなり、安心できる場所でのケアが大きな力になると実感することも多い。

 珍しいことだが、当院では隣町の陸別町にリハビリ支援も行っている。陸別町にはリハビリ有資格者が不在のため、ケアマネジャーから相談があり、2018年度から支援を開始した。効果を実感するとともに、陸別町と当院の連携も深まったと感じる。

 北海道内のリハビリ有資格者の6割が札幌とその周辺に集中している。当院では今後、地域の実情や特性に合わせて、既存の制度を超えた支援活動を広げていきたい。それが、住み慣れた地域で完結する地域医療の実現に結びついていくものと考えている。

助言者コメント

公益社団法人国民健康保険中央会 
              理事長 原 勝則 氏

 今回の3事例は、地域医療を実現する上では非常に不利な状況の中、それぞれ創意工夫をして取り組んでいることが共通していると感じる。これからの社会保障は、最後は地域づくりが重要になってくる。そのキーマンは首長である。首長の意向や熱意がまちを動かしていく。それは、自治体間連携においても同様である。そして、住民の強力なサポートもキーではないかと感じた。
 
公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会 
                                       副会長 大原 昌樹 氏

 発表者の皆さんが地域を守る信念のもとで行動されていると感じた。人口減少地域や過疎地域では特例基準や診療報酬の優遇を今後も議論していきたい。そして、医療現場の職員や行政など、さまざまな人と一緒に地域を考えていくことが重要ではないかと思う。
 当協議会では、「国保直診 ありたい姿に関する報告書」を公表した。本日の発表の内容もこれにマッチしたものだったと思う。これをもとに全体総括と各項目について職員の意見を聞き、フィードバックや発表をされると実践の方向性が見えてくると思う。
 その後、会場の参加者からの質疑応答が行われ、「少子化で人口減少が続く現状では、新しい日本の形は究極のコンパクトシティーではないか」「地域包括ケアは、万一施設がなくなったとしても、地域にケアの哲学が残るように、我々が今からどう関わっていけるかが大事だ」など質問や意見が出され、活発な議論が繰り広げられた。
 
 また、閉講式では島根県国民健康保険診療施設協議会会長である大谷順氏から挨拶があり、来年度の研究施設である自身が院長を務める雲南市立病院についての紹介があった。その後、本年10月4日・5日に岩手県において開催する第64回全国国保地域医療学会について学会長の磯﨑一太氏から挨拶があり、開催案内がされた。

 最後に、公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会副会長の海保隆氏から閉講の挨拶があり、2日間の研究会は幕を閉じた。

ー 北の恵み ふるさと健康料理48 ー

千歳市の特産 ハスカップ

 
「不老長寿の実」として大事にされてきたハスカップ

 千歳市は、国立公園支笏湖や清流千歳川などの豊富な自然に囲まれた住環境と陸・空の交通アクセスや生活利便性に優れた都市環境が調和する道央圏の中核都市です。

 1926年、当時の千歳村民総出の無償の奉仕によって造成された一本の着陸場を起源とする新千歳空港は、北海道の空の玄関口として、本市はもとより、北海道内全体の地域活性化や観光振興に寄与しています。

 ハスカップという名称はアイヌ語のハシカプに由来しており、「枝の上にたくさんなるもの」という意味があります。

 6月から7月にかけて実をつける果実で、千歳市における令和5年の収穫量は約6トンあり、時期になるとハスカップ狩りを楽しむことができる農場もあります。

 千歳市のハスカップ栽培の始まりは昭和40年代とされており、多い時では約40戸もの農業者によって栽培されていました。
 
 また、ハスカップは道外では高山植物で、標高の高い場所にしか生育しないものの、北海道では勇払平野に多く自生し栽培もされています。味はブルーベリーに似ていますが、アントシアニンはブルーベリーの2倍以上も含んでいます。また、カルシウム、カリウム、ビタミンCなどを多く含みます。生で食べると甘酸っぱく酸味が強いですが、種が小さいのでジャムなどの加工に向いています。
 

 レシピについては、ささきつみとり農園の佐々木美津子さんより紹介いただきました。

ハスカップ寿司

◆材料(約4人前)
酢飯…………………………2合(300g)
ハスカップの塩漬け ……適量

◆作り方
①酢飯にハスカップの塩漬けを混ぜる。
②器に盛るか、俵形のおにぎりにする。

ハスカップの塩漬け
【材料】 
ハスカップ……適量
塩………………ハスカップに対して1割

【作り方】
①ハスカップと塩を保存容器に入れ混ぜる。
② ①を1週間ほど冷蔵庫で漬ける。
ハスカップから水分が出てきたら完成。

◆ 冷凍のハスカップでも塩漬けにできます
◆ ハスカップ寿司に白ごまをトッピングするのもおすすめです
◆ ハスカップの塩漬けは梅干しの代わりにおにぎりに入れても美味しいです

ハスカップジャム

◆材料
ハスカップ(生/冷凍)……………500g
砂糖(グラニュー糖/白砂糖)……250g以上お好みで
◆作り方
①アルミ以外の鍋にハスカップと砂糖を入れよくかき混ぜる。3時間以上置いておく。
② ①をかき混ぜながら強火で煮る。沸騰したら中火にしてアクを取り除きながら5~10分煮て出来上がり。
③熱いうちに煮沸した瓶に入れ蓋をしてひっくり返し完全に冷めるまで置く。
保存可能期間:冷蔵庫で約半年間
- 電子レンジで簡単に!- (材料の分量は200gまでに)
 ①電子レンジ用の容器(大き目)にハスカップと砂糖を入れとろとろになるまでよく混ぜる。
 ②電子レンジで5分温め混ぜる。アクは取り除く。再度5分温め混ぜる。
  更に3分温めとろみが出たら出来上がり。ゆるいようであれば温め時間を延ばす。
      
~YouTubeチャンネルの紹介~
 今回紹介したレシピ(ハスカップ寿司)の動画を、YouTubeチャンネル「北海道農家さん食堂千歳ファーム」でも配信しております。ぜひ、ご覧ください。


ー レオおばさんはレオナルド224 ー 

座りっぱなし予防改善運動

福岡永告子 FUKUOKA Etsuko(文)  伊藤優香 ITO Yuka(モデル)

立ったついでに運動を!

座っている時間が世界一長い

 日本人は座っている時間が世界一長いという調査結果があります。
 長時間の座りすぎは健康リスクを高めることも指摘されています。
 座っている時間が長いとカロリー消費が減り、肥満や糖尿病のリスクが増します。メタボリックシンドロームの発症率も高まり、内臓脂肪が蓄積しやすくなります。また、心臓病やがんなどの深刻な病気のリスクを増やし、寿命まで縮めてしまいます。

立ったついでに体を動かす

 座り時間が長くなると、まず足の筋力を中心に身体機能が低下します。筋力や筋肉量が落ちると代謝機能が下がり、疲れやすく、血液の流れも悪くなります。特に「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの活動量の低下は、下半身にたまった血液を心臓に押し戻すポンプ機能も低下させるため、血流が滞った状態になります。
 また、長時間同じ姿勢でいることはたとえどんなによい姿勢だったとしても、筋力が不足していたら疲れます。定期的に姿勢を変えることも必要ですが、ストレッチや筋トレなどで体を積極的に動かすことがより予防改善に繋がります。 

 腸腰筋と広背筋のストレッチ

 太腿の付け根の腸腰筋は、股関節を曲げたり、骨盤を前に傾けたりするときに働きます。 座り姿勢は、まさに股関節を曲げた状態。
 この姿勢が長くなると、腸腰筋が縮んだままになり、血流や鼠径部のリンパの流れが悪くなることで、冷えやむくみ、腰痛などの不調に繋がります。
 集中して長時間座って作業していると背中や腰など背面の筋肉が固まり、これが体のだるさ、疲れ、肩こり、腰痛などに繋がります。
 広背筋は胸郭を支えて深い呼吸をサポートする役割もあり、呼吸にも大きな関わりがあります。時間がないときでもこれだけは実施してほしいのは腸腰筋と広背筋のストレッチです。
 立ったついでにサクッとでき、椅子を支えにして行うので、筋力やバランス力に自信のない人でも簡単にできます。試してみてください。
 

座りっぱなし予防改善運動

1
座りっぱなし予防改善運動
https://youtu.be/obLgs7hMZNs
 

これまでの動画 
メンバーページパスワード「Leo1989119」

https://k2-wellness.net/

今月のフィットネストーク 
速く走りたい!子どもたち

 運動会前になると「子どものかけっこ教室」の依頼が多くなります。けがをせずに走る方法(準備運動、日頃からできるトレーニング)や、速く走るための方法(フォーム、スタート、適切な靴の履き方など)を下は3歳の子どもたちから小学校低学年まで指導しています。「速く走りたい人?」「はぁーい!!」
 速く走りたいという子どもたちの本能に出会います。誰かよりも速く走りたい気持ちが強いと隣の子を気にしすぎて体がぶれてしまい、残念ながら自分の本気の速さに近づけません。
 ただただゴールに向かって思いっきり全力疾走する子は達成感に満ちあふれて「走るって気持ちいい」と良い興奮状態に!スタッフの一人は嫌なことがあると、全力で夜の街を走るようです。自分自身が疾走感を感じることによって、心に活力を与えることができるそうです。子どもたちの25mのタイムを測りました。面白いのはタイムを測る25m(行き)より戻る時の(帰り)のほうが断然速いのです。観覧している保護者の方から笑いが起こるほど顕著です。解き放たれた走りほど速くて楽しいものはないのでしょう。私が伝えたいのは、タイムを測るから、競争だからゴールでポツッと走り終えるのではなく、その先へと走りぬけてほしい!ということです。疾走感を感じて自分を解き放ってほしいと思うのは私自身のことかもしれません。全力でもう走れませんが、全力で何かを頑張る日をつくろうと思います。


ー 令和6年度国保保健事業に対する国庫助成について ー
北海道保健福祉部健康安全局国保医療課

Ⅰ 国保保健事業について

1 助成対象事業

 保険者においては国民健康保険法第82条に基づき、国保被保険者の健康保持増進等を目的とした様々な保健事業を実施しておりますが、当該保健事業のより一層の充実強化を図るため、昭和53年度から国の国民健康保険調整交付金(保健施設事業(平成7年度以降は保健事業)分)による助成措置が講じられており、令和6年度の助成内容については次のとおりとなっています。
(1) 国民健康保険保険者努力支援交付金(事業費分・事業費連動分)
 ① 都道府県国保ヘルスアップ支援事業
 都道府県保険者(以下「都道府県」という。)が実施する国保被保険者の健康の保持増進に係る事業でり、詳細な要件等については「Ⅱ 都道府県国保ヘルスアップ支援事業について」のとおりです。
 ② 市町村国保ヘルスアップ事業
 市町村保険者(以下「市町村」という。)が実施する国保被保険者の健康の保持増進に係る事業であり、都道府県から国民健康保険保険給付費等交付金の交付を受けて実施する事業であり、詳細な要件等については「Ⅲ 市町村国保ヘルスアップ事業について」のとおりです。 
(2) 国民健康保険調整交付金(保健事業分)
 ① 市町村国保保健事業
ア 直営診療施設整備事業
  詳細な要件等については「Ⅴ 直営診療施設整備事業について」のとおりです。

イ 健康管理センター等健康管理事業等
(ア)健康管理センターによる健康管理事業
(イ)歯科保健センターによる健康管理事業
(ウ)直営診療施設による健康管理事業等
  詳細な要件等については記載を省略します。

ウ 総合保健施設整備等事業
(ア)総合保健施設の施設・設備整備事業
(イ)総合保健施設に併設して設置される共同生活援助部門及び居住部門の施設・設備整備事業((ア)と同時に行うものに限る。)
(ウ)総合保健施設における保健事業部門及び介護支援部門の運営事業
  詳細な要件等については記載を省略します。

Ⅱ 都道府県国保ヘルスアップ支援事業について

 都道府県国保ヘルスアップ支援事業は、市町村とともに国保の共同保険者である都道府県が、区域内の市町村ごとの健康課題や保健事業の実施状況を把握するとともに、市町村における保健事業の健全な運営に必要な助言及び支援を行うなど、共同保険者としての役割を積極的に果たすために実施する国民健康保険の保健事業であり、国保被保険者の健康の保持増進、疾病予防、生活の質の向上等を目的に、国保被保険者に対しての取組として必要と認められ、安全性と効果が確保された方法により実施する事業とし、内容は以下のとおりです。

1 交付対象事業

(1) 市町村が実施する保健事業の更なる推進に資する基盤整備(A)
 市町村が実施する保健事業に応じた基盤整備を行い、円滑な保健事業の運用を図る事業。
(2) 市町村の現状把握・分析(B)
 市町村及び都道府県において、PDCAサイクルに沿って事業を効果的・効率的に運用するために都道府県単位、市町村ごとの現状を把握、分析した上で、市町村へ提供したデータについて、データの見方、分析結果の活用方法の説明会、研修等を併せて実施する事業。
(3) 都道府県が実施する保健事業(C)
 都道府県の特性や人的リソース等を活用して、都道府県が直接実施する事業、又は市町村の保健事業を推進するために個別に支援する事業。
(4) 人材の確保・育成事業(D)
 市町村が実施する保健事業に必要な外部有資格者を対象とした専門的な研修を実施する事業や、市町村の保健事業の促進や充実のために新たな人材を確保する事業。 
(5) データ活用により予防・健康づくりの質の向上を図る事業(E)
 都道府県及び市町村において、PDCAサイクルに沿って事業を効果的・効率的に実施するために、国保データベース(KDB)システム等既存のシステムでは保有していないデータ等を活用した保健事業であり、市町村との事前協議及び提供したデータについて、データの見方、分析結果の活用方法の説明会、研修等を併せて実施する事業。
(6) モデル事業(先進的な保健事業)(F)
 都道府県全体またはモデル市町村の現状把握・地域分析・医療費分析を行い、得られた結果や課題に基づいた先進的な保健事業であり、都道府県内において横展開を目的にモデル市町村を選定し実施する事業。
 当該事業においては、エビデンスの確認や蓄積を行い、費用対効果分析も行うことが必要です。

2 交付の要件

(1)  都道府県は、本事業の申請を行う場合には、単年度又は複数年度の実施計画(以下「実施計画」という。)を策定する必要があります。また、事業の実施に当たっては、以下の要件を全て満たすことも必要です。
① 事業の目的、目標、評価指標、対象者、事業内容、実施方法、評価体制・方法、実施体制、実施スケジ
ュール、実施期間、実施場所等を明確にすること。
② 各事業において、評価指標はアウトカム・アウトプットを中心とし、アウトカム・アウトプットを達成するために必要となるプロセス・ストラクチャーについても設定し、PDCAサイクルに沿った事業実施を確保すること。アウトカム・アウトプットの評価指標は定量的なものを設定することとし、単年度で評価できる指標を設定する。
③ 実施計画の策定段階から、第三者(国民健康保険団体連合会の保健事業支援・評価委員会、有識者会議、大学等)を活用すること。
④ 事業の実施に当たって、国民健康保険団体連合会と連携を図るよう努めること。
⑤ 市町村が実施する事業との連携・機能分化を図り、管内市町村全域の事業が効果的・効率的に実施するために必要な取組と認められる事業であること。
⑥ 各事業において、事業の全部を一括して第三者に委託していないこと。また、総合的な企画及び判断並びに業務遂行管理部分を委託しないこと。
(2)  実施計画の策定・実施・評価・改善については、「国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針(平成16年厚生労働省告示第307号)」(以下「実施指針」という。)に基づき行う必要があります。
(3) 高齢者の医療の確保に関する法律や健康増進法、介護保険法等の関連事業との調和を図ること、医療、介護、保健、福祉、住まいなど、部局横断的な取組と連携するなど、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する取組、生活習慣病予防に関する取組、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組との調和を図る必要があります。
 また、都道府県国保ヘルスアップ支援事業は、保険者の特性に応じた取組であり、健診情報、医療情報等の分析に基づいた根拠や評価指標が明確であること、都道府県及び管内市町村の人口・世帯、医療福祉・産業基盤、就労、教育、社会、経済的、地理的条件などの特性を活かした取組であることが必要です。

3 交付額について

 (1)  算定方法
 都道府県ごとに以下に定める被保険者数に応じた基準額と、実施事業ごとにⅡ3(2)に定める対象経費の実支出額から寄付金その他の収入額を控除した額の合計額とを比較し、少ない方の額を交付基礎額とし、同交付基礎額から事業費分のうち都道府県の交付基礎額の一部として別途示す特別調整交付金の交付予定額より算出された控除額を控除した額が交付されます。ただし、算出された額に1,000 円未満の端数が生じた場合には、これを切り捨てるものとします。

 (2) 対象経費

 国保被保険者を対象とし、国民健康保険特別会計事業勘定(款)保健事業費から当該事業を実施するために要した次の経費です。
 報酬、共済費、給料、職員手当等、報償費、旅費、需用費(消耗品費、燃料費、印刷製本費、光熱水費)、役務費(通信運搬費、手数料、保険料)、委託料、使用料及び賃借料、負担金、備品購入費(5割助成分)

Ⅲ 市町村国保ヘルスアップ事業について

 市町村国保ヘルスアップ事業については、被保険者の健康の保持増進、疾病予防、生活の質の向上等を目的に、国保被保険者に対しての取組として必要と認められ、安全性と効果が確保された方法により実施する事業とし、内容は以下のとおりです。 
 なお、健康管理センター等健康管理事業等については記載を省略します。

1 交付対象事業

 (1)  国保一般事業(①)
 (2)  生活習慣病予防対策(②)
 (3)  生活習慣病等重症化予防対策(③)
 (4)  重複・頻回受診者等に対する対策(④)
 (5)  PHRの利活用を推進する取組(⑤)

2 交付の要件

(1) 市町村は、本事業の申請を行う場合は、単年度又は複数年度の実施計画を策定しなければなりません。また、事業の実施に当たっては、以下の要件を全て満たす必要があります。
① データ分析に基づくPDCAサイクルに沿った中長期的なデータヘルス計画を策定していること。
② 各事業において、評価指標はアウトカム・アウトプットを中心とし、アウトカム・アウトプットを達成するために必要となるプロセス・ストラクチャーについても設定し、PDCAサイクルに沿った事業実施を確保すること。アウトカム・アウトプットの評価指標は定量的なものを設定することとし、単年度で評価できる指標を設定する。
③ 各事業において、事業の全部を一括して第三者に委託していないこと。また、総合的な企画及び判断並びに業務遂行管理部分を委託しないこと。
④ 先進的かつ効果的なモデル事業を実施する場合、第三者(国民健康保険団体連合会の保健事業支援・評価委員会、有識者会議、大学等)の支援・評価を活用すること。
(2) 実施計画又はデータヘルス計画の策定・実施・評価・改善については、実施指針に基づいて行うこうとが必要です。

(3) 高齢者の医療の確保に関する法律や健康増進法、介護保険法等の関連事業との調和や、医療、介護、保健、福祉、住まいなど、部局横断的な取組と連携するなど、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する取組、生活習慣病予防に関する取組、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組との調和を図る必要があります。
 また、市町村国保ヘルスアップ事業は、保険者の特性に応じた取組であり、健診情報、医療情報等の分析に基づいた根拠や評価指数が明確であること、都道府県及び管内市町村の人口・世帯、医療福祉・産業基盤、就労、教育、社会、経済的、地理的条件などの特性を活かした取組であることが必要です。


(4) 交付額の算定方法及び基準額の算出方法
① 算定方法
 市町村ごとの被保険者数に応じた基準額と、実施事業ごとに「Ⅲ2(5)事業経費の標準的範囲を超過する額の算出方法」に定める対象経費の実支出額から、寄付金その他の収入額及び事業経費の標準的範囲を超過する額の2分の1を控除した額の合計額とを比較し、少ない方の額が交付されます。
② 算出方法
 上記算定方法に定められた基準額は、交付対象事業(①国保一般事業、②生活習慣病予防対策、③生活習慣病等重症化予防対策、④重複・頻回受診者等に対する対策、⑤PHRの利活用を推進する取組)の事業区分ごとに以下のとおりです。なお、複数の事業区分を実施する場合、事業区分ごとに適用される基準額の合算額が補助上限となります。
 ただし、基準額の合算は最大で3つの事業区分までです(交付申請は3つの事業区分を超えて行うことも可能であるため留意すること)。
(基準額①)
 交付対象事業のうち、①国保一般事業、②生活習慣病予防対策の2事業区分について、いずれか又は両方の事業を実施する場合、1つの事業区分につき以下の基準額①を適用する。
 

(基準額②)
 交付対象事業のうち、③生活習慣病等重症化予防対策、④重複・頻回受診者等に対する対策、⑤PHRの利活用を推進する取組の3事業区分について、いずれか又はすべての事業を実施する場合、1つの事業区分につき以下の基準額②を適用する。

(先進的かつ効果的なモデル事業を実施する場合の加算額)
 先進的かつ効果的なモデル事業として都道府県の指定を受けて、①国保一般事業、②生活習慣病予防対策、③生活習慣病等重症化予防対策、④重複・頻回受診者等に対する対策、⑤PHRの利活用を推進する取組のいずれかの事業を実施する場合、以下の加算額を基準額に加算する。ただし、先進的かつ効果的なモデル事業の加算額は1事業区分までとする。

(5) 事業経費の標準的範囲を超過する額の算出方法
 「Ⅲ2(4)①算定方法」で定めることとした事業経費の標準的範囲を超過する額については、下表の小事業区分ごとに、対象経費の実支出額から寄付金その他の収入額及び検査費用を控除した額から、1 人あたり事業経費の標準的範囲に実施事業の対象者数を乗じた額を控除した額となります(控除後の額が0を下回る場合、事業経費の標準的範囲を超過する額は0とする)。ただし、先進的かつ効果的なモデル事業として実施される事業、f)特定健診未受診者対策において離島における特定健診(集団健診)を実施するための環境整備、h)40歳未満早期介入保健指導事業及びp)PHRを利活用した保健事業については、事業経費の標準的範囲は定められておりません。

(6) 対象経費
 国保被保険者を対象とし、国民健康保険特別会計事業勘定(款)保健事業費から当該事業を実施するために要した次の経費です。
 報酬、共済費、給料、職員手当等、報償費、旅費、需用費(消耗品費、燃料費、印刷製本費、光熱水費)、役務費(通信運搬費、手数料、保険料)、委託料、使用料及び賃借料、負担金、備品購入費(5割助成分)

3 実施方法

 (1) 事業内容
 国保被保険者の健康の保持増進、疾病予防、生活の質の向上等を目的に、市町村において効果的・効率的に実施する①国保一般事業 ②生活習慣病予防対策 ③生活習慣病等重症化予防 ④重複・頻回受診者等に対する対策 ⑤PHRの利活用を推進する取組に該当する事業。
 なお、健康教育、健康相談、保健指導等被保険者と接触する機会を捉え、健康保険証利用登録をしたマイナンバーカード(以下「マイナ保険証」という。)やマイナポータルを用いて特定健康診査(以下「特定健診」という。)情報・薬剤情報等を活用する取組と併せて実施いただくことが望ましい。
 ① 国保一般事業
a)健康教育
 乳幼児から高齢者まで、各ライフステージにおける生活習慣等から引き起こされる疾病の予防や心と身体の健康づくり、薬などについて、正しい知識の提供を行い、広く一般に予防・健康づくりを推進する事業
<取組の例>
・被保険者やその家族等への疾病予防、健康増進に関わる正しい知識の普及啓発
(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
・健康寿命の延伸に向け、健康づくりに取り組むことの必要性や健康行動を促進するための健康教育
・医療関係者等と連携した健康管理や薬に関する講演会
・働き盛りの健康無関心層の被保険者を対象に健康教室と特定健診を同時に開催し、予防・健康づくりについての啓発と実施率向上を目指す健康教育
・被保険者である児童を対象とした健康増進に係る普及啓発に合わせ、保護者へ向けた特定健診等の重要性(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)を含めた健康教育
・転倒予防・骨粗鬆症予防教室
b)健康相談
 乳幼児から高齢者まで、幅広い年代層を対象とした健康相談や生活習慣等により引き起こされる疾病、健康を阻害する状態など、被保険者が抱える個々の健康課題について定期的に相談の場を設けたり、電話やオンラインを活用して広く一般に相談を受ける事業
<取組の例>
・健康づくりや心の健康づくりに関する健康相談
・生活習慣病等の疾病別健康相談
・まちの保健室等による健康相談
・マイナポータルを用いた特定健診情報・薬剤情報等を活用した健康相談
c)歯科にかかる保健事業
 歯磨き教室など広く一般向けに実施する歯科保健の向上を推進する事業
<取組の例>
・歯周病予防教室
・乳幼児や児童等に対する歯磨き教室
d)地域包括ケアの視点を踏まえた保健事業
 国保部門が医療、介護、保健、福祉、住まいなどの関係部局や既存の地区組織等の地域の資源などと連携して、被保険者の健康の保持増進や健康意識の向上を図り、被保険者が自ら主体的に健康づくりに取り組むことができるよう被保険者を支援する保健事業(健康部門、後期高齢者部門、介護部門等と連携し役割分担を行い実施。)
<取組の例>
・庁内(国保部門、健康部門、後期高齢者部門、介護部門)連携したケース検討会議を踏まえた保健指導
・国保データベース(KDB)システムを活用して国保と後期のデータを分析後、健康課題を抽出し、対象者に対し重症化予防事業や介護予防事業等への利用勧奨等個別支援を実施する取組
・生活習慣病と認知機能低下予防の一環として前期高齢者を対象とした運動教室・健診をはじめとする保健事業の機会を活用して基本チェックリスト等を実施し、口腔衛生や筋力低下の予防等を目的とした保健指導
・高齢者を含む国保被保険者等の居場所づくりや拠点づくり等、生きがい、自立支援、子育て支援、健康づくりにつながる住民主体の地域活動の支援
・地域資源(スポーツ施設、民間企業、大学等)と連携した予防・健康づくりの取組
・既存の地区組織(民生委員・児童委員、食生活改善推進員、保健活動推進員等)と連携した健康づくりに向けた取組(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
 
e)保険者独自の取組
 ①a)~d)、②~⑤のいずれにも該当しない広く一般向けの保健事業
 ② 生活習慣病予防対策
f)特定健診未受診者対策
 特定健診の未受診者の理由の把握や分析を行い、その理由に応じた対策により、特定健診未受診者の健康意識の向上と特定健診等の実施率の向上を図る事業
<取組の例>
・過去の健診受診状況や健診結果等、被保険者の特性に応じた個別具体的な通知、電話や訪問による受診勧奨(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
・退職に合わせた節目健診など、年齢を絞った受診勧奨
・翌年度40歳到達者、当該年度40歳到達者、新規国保加入者に対して、受診を促す取組
・離島における特定健診(集団健診)を実施するための環境整備
g)特定保健指導未利用者対策
 特定保健指導の未利用者の理由の把握や分析を行い、その理由に応じた利用勧奨を行うことにより、特定保健指導の実施率の向上を図る事業
<取組の例>
・特定保健指導未利用者への電話や訪問による利用勧奨
・複数の保険者でコールセンターを設置し広域での電話による特定保健指導未利用者への利用勧奨
h)40歳未満早期介入保健指導事業
 特定健診の対象外である当該年度40歳未満の者に対して、特定健診に準じた内容の健診とその結果に基づく内臓脂肪型肥満等に着目した保健指導を実施し、生活習慣病の1次予防に重点を置いた取組
<取組の例>
・当該年度40歳未満の国保被保険者に対する特定健診に準じた内容の健診及び特定保健指導に準じた保健指導
i)特定健診継続受診対策等
 特定健診受診者が継続して特定健診を受診するための多様な取組を行い、特定健診の継続受診を促す事業や、特定健診等の結果を踏まえて生活習慣の維持や改善を促すための保健事業
<取組の例>
・特定健診受診者への経年結果等を活用した検査値の見方や継続受診の必要性等を説明する説明会(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)の開催
・特定保健指導及び40歳未満の特定保健指導に準じた保健指導の対象とならない者に対する生活習慣の維持や改善を促すための情報提供と保健指導の実施
j)その他生活習慣病予防対策
 生活習慣病予備群や特定保健指導予備群等の被保険者を対象として行う、f)~i)に当てはまらない生活習慣病予防対策を目的とした事業
<取組の例>
・特定健診の結果、健診検査項目の結果が保健指導判定値等の一定数値以上のハイリスク者を対象に実施する運動教室、料理教室等(特定保健指導に該当する保健指導は除く。)
・生活習慣病予備群や特定保健指導予備群等に対する継続的な保健指導(特定保健指導に該当する保健指導は除く。) 
・健診検査項目の結果が保健指導判定値等の一定数値以上の非肥満者に対する継続的な保健指導 
・既往歴や骨密度測定の結果等により抽出した、骨粗鬆症のおそれがある者やハイリスク者等に対する骨粗鬆症についての受診勧奨(勧奨後の受診確認まで行う。)や保健指導 
・生活習慣病予備群や特定保健指導予備群等に対して行う、生活習慣病予防対策としての歯科医院への受診勧奨(勧奨後の受診確認まで行う。)及び保健指導

 ③ 生活習慣病等重症化予防対策

k)生活習慣病等重症化予防
 特定健診の結果やレセプト情報等を活用して、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)、脳血管疾患や心疾患等の循環器病及び慢性腎臓病(CKD)等の予防のため、被保険者やその家族等の生活環境、就労状況、生活習慣等を把握し、心身の特性の変化、ライフステージ等に応じた保健指導(特定保健指導に該当する保健指導は除く。)や医療機関への受診勧奨(勧奨後の受診確認を必須とする。)を行う事業
<取組の例>
・健診結果に基づき、生活習慣病改善に向けた被保険者やその家族等に対する生活習慣の改善等の保健指導(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
・生活習慣病重症化予防に重点を置いた治療中断者に対する医療機関への受診勧奨及び保健指導
・被保険者の同意のもと、治療中の者や受診勧奨判定値を超えている者等への、医療機関等と連携した保健指導
l)糖尿病性腎症重症化予防
 糖尿病性腎症の患者であって、生活習慣の改善により重症化の予防が期待される者(人工透析導入前段階の者)に対して、市町村が医療機関等と連携して実施する保健指導や医療機関への受診勧奨(勧奨後の受診確認を必須とする。)を行う事業
 なお、対象者の選定に当たっては、「「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の改定について(依頼)」(令和6年3月28日付け保発0328 第1号)の別紙1「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」及び都道府県が個別に策定した糖尿病性腎症重症化予防プログラム等を踏まえた取組とすること。
<取組の例>
・医療機関未受診者、治療中断者に対する医療機関への受診勧奨及び保健指導
・被保険者の同意のもと、治療中の者や受診勧奨判定値を超えている者等への、 医療機関等と連携した市町村による保健指導(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
m)保健指導
 特定健診の結果やレセプト情報、生活状況、就労状況、生活習慣等を把握し、心身の特性の変化やライフステージ、性差等に応じた保健指導を行う次の事業

①禁煙支援
 特定健診の機会等を活用して、喫煙者の喫煙状況の把握や禁煙の重要性を高めるアドバイス、禁煙のための解決策の提案等を行い、禁煙を希望する者に対して、禁煙継続のための保健指導や禁煙治療のための医療機関等の紹介などを行う事業
 なお、事業の実施に当たっては、「禁煙支援マニュアル(第二版)増補改訂版」(厚生労働省健康局健康課編)を参考にすること。
②二次性骨折予防に関する取組
 レセプト情報の分析等により、大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折、上腕骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折などの既往歴がある者等の二次性骨折のハイリスク者を抽出し、未治療者に対して骨粗鬆症の治療を促すとともに、転倒予防や運動、栄養等についての保健指導を実施して、骨粗鬆症についての治療の開始や受診継続をしていることを確認する事業
③その他保健指導
 ①、②以外の保健指導

 ④ 重複・頻回受診者等に対する対策

n)重複・頻回受診者に対する保健指導
 国保データベース(KDB)システムやレセプト等の情報により抽出した重複・頻回受診者に対して、適正受診の促進を図るとともに、必要に応じて、保健師等が重複・頻回受診者の事情を十分に聴取した上で、適切な受診につながるような保健指導を実施する事業
<取組の例>
・国保データベース(KDB)システム等により抽出された重複・頻回受診者に対して、主治医、薬剤師、保健師、訪問看護師、ケアマネジャー等との連携の下、訪問や電話等により適切な受診につながるような保健指導(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)を実施するとともに、その結果を国保データベース(KDB)システム等により確認する取組
o)重複・多剤服薬者に対する保健指導
 国保データベース(KDB)システムやレセプト等の情報により抽出した重複・多剤服薬者に対して、医薬品の適正使用の推進を図るとともに、必要に応じて、保健師等が重複・多剤服薬者の事情を十分に聴取した上で、適正な医薬品の服用につながるような保健指導を実施する事業
<取組の例>
・国保データベース(KDB)システム等により抽出された重複・多剤服薬者に対して、主治医、薬剤師、保健師、訪問看護師、ケアマネジャー等との連携の下、訪問や電話等により適正な医薬品の服薬につながるような保健指導(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)を実施するとともに、その結果を国保データベース(KDB)システム等により確認する取組

 ⑤ PHRの利活用を推進する取組 

p)PHRを利活用した保健事業
 k)生活習慣病等重症化予防及びl)糖尿病性腎症重症化予防の一環として、対象者に対し、特定健診の結果などに加えて、対象者が自ら日々測定する血圧、心拍数、体重、体脂肪、食事、運動、服薬等の健康状態などに関するデータ(PHR(パーソナルヘルスレコード)データ)を活用して、必要に応じてかかりつけ医、歯科診療所、薬局等と連携した保健指導を実施する事業
<取組の例>
・かかりつけ医と連携したスマートウォッチ計測データ等を活用した糖尿病性腎症重症化予防のための保健指導(マイナ保険証やマイナポータルを用いて特定健診情報・薬剤情報等を活用する取組も含む。)
・家庭血圧測定管理、活動量計アプリを活用した高血圧症重症化予防のための保健指導
・食事管理アプリを用いた脂質異常症、糖尿病の者に対する保健指導

 (2) 先進的かつ効果的なモデル事業を実施する上での留意事項

 市町村は、現状把握や地域分析、医療費分析を行い、得られた結果や課題に基づいた先進的かつ効果的なモデル事業として交付対象事業を実施する場合、事前に都道府県と協議した上で、都道府県から指定を受けること。当該事業においては、エビデンスの確認や蓄積を行い、費用対効果分析も行うこと。
<取組の例>
・地域の企業や大学、関係団体等と市町村単位の現状や健康課題を共有し協力し実施する先進的な予防・健康づくり事業
・乳幼児から高齢者を含む様々な年齢層を対象に、市町村の庁内他部門や地域資源を共同して行う先進的な保健事業
・無関心層を対象に取り組む先進的な保健事業

Ⅳ 事業費連動分について

 事業費連動分に関しては、全道で次の指標を満たすことにより加点され、獲得点数に応じた交付金が北海道に交付されます。交付金は全道の納付金の引き下げ財源として活用することが可能です。
 また、各市町村において、市町村国保ヘルスアップ事業を積極的に取り組むことで、保険者努力支援(取組評価分~市町村等の医療費適正化等の取組に応じ配分)の取組評価も向上し、加点数が増えることで保険者努力支援交付金の交付額が増加します。市町村国保ヘルスアップ事業を取り組むための事業費は10/10交付されることから、令和7年度予算編成に向けて、評価指標が達成できる、事業予算の確保をお願いします。

Ⅴ 直営診療施設整備事業について

国保直営診療施設に対しては、次の国庫補助が行われております。
1 医療施設等施設・設備整備費補助(厚生労働省医政局所管)
 へき地診療所(国保直営診療所を含む)が行う施設・設備整備事業に対する補助(補助率:国1/3)。
2 国民健康保険調整交付金(厚生労働省保険局所管)
   国民健康保険調整交付金による助成については、国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令第6条第1号ルに規定する「国保へき地直営診療所運営費補助」、同条同号ヲに規定する「その他特別の事情がある場合」のうち、「直営診療施設の運営に係る特別に要した費用に対する補助」、「直営診療施設整備に関する費用に対する補助」の3種類となっています。
(1) 国保へき地直営診療所運営費補助
 国保直営診療施設のうち、第1種へき地診療所、第2種へき地診療所の運営赤字に対する補助(補助率:第1種へき地…2/3、第2種へき地…5/10)。
(2) 直営診療施設の運営に係る特別に要した費用に対する補助
 災害等による被害を受け復旧に要した費用など、国保直営診療施設の運営において特別に要した費用に対する補助。
(3) 直営診療施設整備に関する費用に対する補助
 国保直営診療施設に係る施設・設備整備に対する補助(補助率:1/3)
国保直営診療施設の整備費に対する補助については、昭和21年度から開始され、直営診療施設費補助金により措置されてきましたが、昭和53年度から、国の国民健康保険調整交付金(直営診療施設整備分)となり、平成30年度からは、市町村国保保健事業に位置づけられ、国民健康保険調整交付金(保健事業分)交付要綱等により行われることとなりました。
 なお、令和5年度の交付実績については別表のとおりです。



 

ー 令和6年度KDB Expander説明会 ー

 本会では5月28日から31日、6月4日から7日、6月11日にKDB Expander説明会が会場とオンラインで開催され、総計で278名が参加しました。
 本記事は、市町村の保健事業に活用していただくため、説明会で本会の担当者が講義した内容を再編集して掲載します。

北海道における予防・健康づくり推進に向けた取組

 北海道の「全世代型予防・健康づくり推進事業」では、全市町村で「道民が健康に豊かに過ごすことができる社会の実現」を目標に、生涯を通じた健康づくりを進め、健康寿命の延伸を実現すると共に、保険料の負担軽減、医療費の適正化を目指しています。

 保健事業に取り組む市町村では、マンパワー不足などが課題になっています。そこで本会が、北海道、北海道後期高齢者医療広域連合、全国健康保険協会北海道支部と連携し、KDB Expanderを通じて、各市町村に寄り添った伴走支援を行っています。

 国保の財政運営は、全道の医療費を賄うため北海道が179市町村に対し納付金を求め、市町村は住民に保険料(税)を求める仕組みです。各市町村が、保険者努力支援交付金などを活用しながら重症化予防事業などの取組を継続することにより、健康寿命が延伸され、医療・介護費の適正化につながれば、全道の医療費が下がります。医療費が下がれば北海道が各市町村に求める納付金が少なくなり、住民の保険料(税)も下がるという好循環が生まれます。

 しかし、高齢化により医療費や介護給付費の抑制は難しくなっています。効果的・効率的な保健事業を通じて目指すべきことは、治療が必要な方を早期に外来医療につなげ、重症化してからの入院や介護に至らないようにすることです。つまり、外来の医療費が上がっても、入院医療費や介護給付費を下げられる構造変化が目指す姿です。

 北海道の医療費の全国順位を比較すると、国保医療費が全国18位である一方、後期医療費は全国7位と国保より高い順位となっています。さらに、協会けんぽ医療費は全国3位と高い状況にあることから、国保や後期に加入する前の段階である、被用者保険時代の健康づくりが重要です。

KDB及びKDB Expanderの概要と活用

 KDB Expanderとは、KDBシステムで管理してきた国保・後期・介護データに加え、協会けんぽのデータを加えた健康・医療情報データベースと、分析システム及び統計システムを連結させたものです。全道の人口の約7割(医療費にすると約8割)に当たる約370万人のデータをカバーしており、最終的には10年分のデータを保有します。協会けんぽのデータが加わることで、地域・職域連携に向けた取組や、まち全体の健康課題を踏まえた高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施にも活用できます。KDB Expanderは、分析データや統計情報などを自動作成し、完成品を市町村ポータルというポータルサイトで提供します。市町村の皆さんは、市町村ポータルにアクセスしていただき、必要な帳票をダウンロードしてすぐに使えるという運用です。これにより、データ分析や保健事業に係る対象者一覧の作成に係る市町村事務の負担が軽減されます。

 KDB Expanderの生活習慣病の定義は、KDBシステムの13疾病分類に加え、重症疾患の一つである腎疾患、フレイル系の視覚障害や関節疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患、介護の要因になり得る認知症やうつを加えた18疾病分類です。(図1)令和6年度提供分からは、これに心不全を追加した19疾病類での帳票を提供予定です。


図1 KDB Expanderにおける生活習慣病の定義 

KDB Expander ポータル帳票説明

 「地域・職域制度差分析」は、協会けんぽと国保の数値を並べて見ることができるKDB Expanderの代表的な帳票です。生活習慣病の疾病ごとの一人当たりの医療費・有病率、健診結果の数値などを性・年齢階層別に細かく分析することができます。北海道と比較することで、自市町村の健康課題について制度横断的に把握できるため、住民を対象とした保健事業の企画・立案に役立てることができます。令和6年度提供分からは、健診における質問票の回答が追加されます。(図2)

 

図2 「地域・職域制度差分析」帳票

各種統計情報及び新規リリース情報

 令和6年度の新規リリース帳票として、保険者努力支援制度の取組評価分に活用可能な「重複服薬・多剤投与対象者一覧」があります。重複・多剤投与の対象者を毎月抽出し、リスト化して提供します。(図3)対象者の直近の外来医療費や傷病名を確認することや、医薬品一覧のシート(図4)へ遷移することもできるため、介入対象者の絞り込みが容易になります。
 「特定健診受診勧奨分析」も新規リリース帳票の一つで、過去の特定健診受診履歴から、受診率の統計や、受診履歴で対象者を分類したリストを提供します。(図5)月別の健診受診者数及び受診率や、過去5年間の経年で健診受診履歴別に健診受診率の推移などを見ることで、事業の効果に関する分析を行い、今後の事業展開の検討などに活用できる帳票です。


図3 新規リリース帳票「重複服薬・多剤投与対象者一覧」

図4 新規リリース帳票「重複服薬・多剤投与対象者一覧」

図5 新規リリース帳票「特定健診受診勧奨分析」

重症化予防対象者一覧の活用

 「重症化予防対象者一覧」では、各市町村で設定した抽出条件に応じて、生活習慣病の重症化予防事業の対象者を自動で抽出・リスト化しています。管理ツールの使用により、対象疾患に対する医療機関への受診状況や直近3か月の投薬情報なども、リスト上で把握できるため、レセプトまで確認する作業が省力化され、効率的に介入対象者を抽出することができます。(図6)

図6 重症化予防対象者一覧

健康レポートの活用

 「健康レポート」は、健診受診者個人へ向けた情報提供として、保健指導や結果説明会などで介入資材としての使用を想定しています。過去5年間の健診結果や質問票回答を経年で確認できるのはもちろん、KDB Expanderが保有する全道7年間分の健診・医療データを活用し、AIが健診受診者ごとに発症しやすい生活習慣病を分析し、受診者の健診結果に合わせた内容を自動で作成しています。(図7)


図7 健康レポート

今後に向けて

 KDB Expanderの本格稼働は令和5年度ですが、現時点で完成しているというものではなく、これからも市町村のニーズに沿って機能改善・強化を継続し、北海道の健康づくりに資する健康・医療情報プラットフォームを目指して取組を進めていきます。
 
ー こくほ随想 ー
 「3K」は、現在は、労働環境・作業内容がきつい・汚い・危険という意味で使われている。半世紀前は、国鉄とコメ(米価)と健康保険を指し、政府の三大赤字事業という意味で使われていた。国鉄は国鉄民営化で片付き、コメは自主流通によって解消された。健康保険は制度改正を重ねてきた。
 
 人口の高齢化が進み医療需要が増え、高度経済成長が終焉し負担力が増えない中で、過度な医療需要を抑えつつ、公平でバランスの取れた保険料負担をお願いする、そういう方向で制度改正が進められた。

 その第一弾は、昭和57年に制定された老人保健法である。昭和48年に始まった老人医療費無料化は、老人の有病率と受診率の差を解消し、老人の深刻な医療需要に対応するものであった。しかし、「病院の老人サロン化」のような行き過ぎの弊害も生じるなど、大局的な観点からの制度創設であった。

 第二弾は、昭和59年の医療保険制度の大改正である。健保本人1割負担の導入(定額負担から定率負担へ)、退職者医療制度の創設(国保への負担偏重の是正)を柱とする改正であった。吉村仁保険局長の強いリーダーシップの下、与党内に賛否両論が渦巻く中で、渡部恒三厚生大臣とともに改正を実現した。

 私も、小さな改正だが、医療保険制度の改正を担当した。保険局企画課長に着任する直前の平成5年6月、関係審議会で医療保険制度改正の中間報告がまとめられ、「入院患者に食費負担導入」と大きく報じられた。

 その頃、政治の世界は激動していた。自民党から複数のグループが離党し、日本新党という政党も生まれた。内閣不信任案が可決され、解散総選挙となり、野党各党は「入院患者の飯代負担反対」を公約の第一に掲げた。自民党は過半数割れし、5党8会派が連立して、細川護熙内閣が誕生した。厚生大臣には大内啓伍民主党委員長が就任した。

 私は、時には与野党が入れ替わることは良いことだと思っている。しかしこの時は、医療保険制度の改正には逆風となった。新与党議員に説明に行っても、「選挙公約の第一に『入院患者の飯代負担反対』を言ってきた。この改正は絶対ダメ」と厳しく追い返された。

 改正の考え方を、医療保険制度でカバーすべきはきちんとやり、かつ、給付と負担の公平性を実現するとし、整理し直した。すなわち、①入院患者が付添婦を雇うという保険外負担を解消し、財源を確保し看護師を増員する、②在宅患者も入院患者も同じような水準の医療を受けられるよう特に在宅医療を充実する、③負担の公平性の観点から入院患者にも在宅患者と同程度の食費負担をしてもらい、その財源を看護師増員に充てる。与党議員に何度も説明に行き、理解してもらい、何とか法案を国会に提出した。ところが細川総理の佐川急便問題が起こり、国会は空転を続け、法案審議ができない。細川内閣総辞職、羽田内閣誕生の間隙を縫って、夜中の国会で法案審議をお願いして、予算成立と同時に法案成立を実現した。この改正の財源で新看護体系がつくられた。国会最終日に、自社さが組んで村山総理が選出された国会である。

 次の大きな改正は2002年の健保改正である。小泉内閣の下で、厚生省入省同期の大塚義治保険局長をヘッドに、健康保険も国民健康保険と同様に本人3割負担と改正した。高齢者以外は医療費自己負担率が統一され、制度間格差が解消された。なお、医療費が高額な場合には、高額療養費制度によって負担は軽減される。医療保険制度の抜本改革論議に一区切りつけた節目の改正であるが、誠に残念なことに、大塚君は昨年1月に亡くなられた。心からご冥福を祈ります。

 この3つの医療保険制度の改正については、医療科学研究所の機関誌「医療と社会」に当時の担当者の座談会が掲載されている。HPから閲覧可能なので、ぜひ大塚君の生の声を聞いて欲しい。
記事提供 社会保険出版社
 


ー会の動きー

国保総合システム・国保情報集約システム説明会
(6月7日、13日Web開催)

1

システム運用方法を具体的に説明

 国保総合システム・国保情報集約システム説明会を6月7日及び13日の2日間、「Zoom」を使ってWeb開催した。

 保険者の新任担当者が業務を効率的に遂行できるよう、国保総合システムと国保情報集約システムの主な操作方法等について、例年説明している。

  国保総合システムに関する業務として、特に問い合わせの多い、高額療養費等の制度の概要や支給額計算方法と、保険者にて実施するシステムでのデータの確認やエラーの処理等にかかる操作方法を話した。

 さらに、国保総合システムの各種データを活用し、保険者から委託を受けて実施している医療費通知作成等の特別業務に使用する用紙や封筒については、令和6年度保険者努力支援制度(市町村分)における保険者の評価指標において、セルフメディケーションの周知啓発や、マイナ保険証取得に係る項目の対象となったことを周知した。

 併せて、本会で実施している保険者努力支援制度評価向上支援事業において、申請に必要な各種データや挙証書類等を特別業務受託保険者に提供することで、保険者の作業負担軽減に努めている。
 
 国保情報集約システムは、都道府県単位で被保険者の資格管理を行うために開発された。
  都道府県単位の資格管理に必要な世帯継続の判定業務や国保総合システムへの資格情報の連携について説明した。

 また、国保情報集約システムへ連携された資格情報を、オンライン資格確認のため、本会が医療保険者等向け中間サーバー等に連携していることから、オンライン資格確認に影響のあるエラーの確認方法や解消の必要性について説明した。

 最後に、健康保険被保険者証廃止に向けた医療保険者等向け中間サーバー等より新たに連携される各種帳票について、いずれかのシステムより入手することとなるため、帳票によるシステムの違いと、連携開始によるオンライン画面やチェック仕様等の変更について説明した。

第三者行為求償事務担当者講習会

(6月17日、7月1日Web開催)

第三者行為求償、積極的な取組を促す

 第三者行為求償事務担当者講習会を6月17及び7月1日の2回、「Zoom」を使ってWeb開催した。

 本会の担当者から、第三者行為求償事務は、保険給付の適正化と国保財政の健全化に資するうえで極めて重要な役割を担っている。本会では、複雑多岐にわたり専門知識を必要とする第三者行為求償事務に対応するため、求償専門員を設置し保険者事務の大幅な負担軽減に向けて、効率的かつ効果的な給付の適正化を目指していること、第三者行為求償事務は保険者努力支援制度の評価項目にもなっているため、より積極的な取り組みが求められていることから、保険者事務の参考となるよう講習会を開催したことを説明。

 また、令和4年6月から受託範囲を拡大し実施している負傷原因照会書及び傷病届勧奨通知の一括作成、レセプトの私病分離などを中心に事務取扱上の留意点などを説明した。

 道保健福祉部健康安全局国保医療課の担当者は「保険給付と損害賠償請求権の代位取得 私債権における債権管理手法」の題で概要を説明したうえで、「国保制度の中でも費用対効果が高いといわれる第三者行為求償事務を適切に行うことが道内市町村間における医療費の公平・公正な負担の適正化、および国保財政の健全化・安定化につながる」などと話した。
 厚生労働省第三者行為求償事務アドバイザーで札幌市保健福祉局保険医療部国保健康推進担当課の杉本真希子氏は第三者行為求償事務で大事なこととして、①初動を迅速にする②第三者求償事務はシミュレーションが重要―などを挙げ、「第三者行為求償事務はやればやっただけ実績が確実に向上する余地がある。全ての判断は保険者裁量となる」と強調した。

 青野・広田・おぎの法律事務所の弁護士、青野渉氏は「積極的な求償事務の運用」の題で事例を解説し、症状固定後も治療や介護が必要な重度後遺症の案件では、交通事故と因果関係が認められる治療(介護)であれば求償可能な場合もあり、自治体によっては第三者行為求償に基づき求償金請求訴訟等を提起し多額の支払いを受けている事例もあるため、積極的な求償する権利の行使を呼びかけた。

お問い合わせ

総務部事業振興課

本文ここまで

ここからフッターメニュー

ページの先頭へ戻る