時流
上から評価、下から評価
小樽商科大学 商学部企業法学科教授 片桐由喜
過日、学生からA教員がつけた期末試験の成績評価に不服があると相談を受けた。もっともな内容なので学内手続きにのっとって、不服申立てをするように伝えた。そう伝えた後で、私が大学生の頃を思い出すと、なぜ優なのか(今、最高は秀)、不可なのかについて、疑問を持つことはなく、こんなものかと納得するか、諦めるしかなかったように思う。成績について先生に不服申立てをするなど考えもつかなかったし、おそらく、当時は成績不服申立制度なるものは存在しなかったのではないか。
先の学生になぜ成績を気にするかを聞くと、試験の成績が奨学金支給判定基準であり、後期の奨学金支給の可否は試験の結果次第だからだという。この話を聞いて、私たち大学教員は襟を正して成績を付けなければならないと再認識した次第である。
教員は小学校から大学まで教室内では強者である。その強者が担当科目について単独で成績評価権限をもっている。つまり、第三者によるなんの監視もチェックもないのだから、考えると恐ろしい(入試は複数教員で採点、相互確認あり)。それを踏まえてか、かなり以前から少なくとも大学レベルでは上記のような成績に対する不服申立制度が導入されている。
強者が独善に陥ることを防ぐためと授業の質向上を掲げて、かなり以前から履修学生による授業評価がすべての大学で実施されている。いわば、「下からの評価」である。最後の授業を終えた後、学生たちが無記名で5段階評価し、自由記載も可能である。この記載を読むと、学生はよく教員を観察しているということがわかる。良いところは良いと評価し、悪いことは的を得て厳しく指摘してくる。匿名であるにもかかわらず、誹謗中傷めいた自由記載はない。褒められれば嬉しく、批判されれば悔しく、しかし、ありがたい授業評価である。
評価は学生時代よりも、社会人になった後の方がずっと重い意味を持ち、それに多くの人が一喜一憂する。なぜなら、昇進昇級昇格に直結するからである。では、その評価に不服がある、納得できないときには役所や会社内で上司に対して不服申立てしているのだろうか? 少なくとも私は聞いたことがない。これは日本人の奥ゆかしい気質、年功序列型労務管理(黙っていれば、上がる?)、あるいは、誰もが納得する人事評価をしているからなのか?
ところで、近年、部下が上司を評価する組織もあると聞く。授業評価職場版である。これができるのは職場構成員の間に信頼関係があり、評価をした部下に不都合不利益が生じないという大前提が存在する職場である。そして、そのような職場が本来あるべき組織の姿といえよう。
上からの評価であれ、下からの評価であれ、評価に納得できる、換言すれば評価を納得させる背景には評価者に対する信頼がある。そのような大学であるか、職場であるか。評価の時期には考えたい問いである。
先の学生になぜ成績を気にするかを聞くと、試験の成績が奨学金支給判定基準であり、後期の奨学金支給の可否は試験の結果次第だからだという。この話を聞いて、私たち大学教員は襟を正して成績を付けなければならないと再認識した次第である。
教員は小学校から大学まで教室内では強者である。その強者が担当科目について単独で成績評価権限をもっている。つまり、第三者によるなんの監視もチェックもないのだから、考えると恐ろしい(入試は複数教員で採点、相互確認あり)。それを踏まえてか、かなり以前から少なくとも大学レベルでは上記のような成績に対する不服申立制度が導入されている。
強者が独善に陥ることを防ぐためと授業の質向上を掲げて、かなり以前から履修学生による授業評価がすべての大学で実施されている。いわば、「下からの評価」である。最後の授業を終えた後、学生たちが無記名で5段階評価し、自由記載も可能である。この記載を読むと、学生はよく教員を観察しているということがわかる。良いところは良いと評価し、悪いことは的を得て厳しく指摘してくる。匿名であるにもかかわらず、誹謗中傷めいた自由記載はない。褒められれば嬉しく、批判されれば悔しく、しかし、ありがたい授業評価である。
評価は学生時代よりも、社会人になった後の方がずっと重い意味を持ち、それに多くの人が一喜一憂する。なぜなら、昇進昇級昇格に直結するからである。では、その評価に不服がある、納得できないときには役所や会社内で上司に対して不服申立てしているのだろうか? 少なくとも私は聞いたことがない。これは日本人の奥ゆかしい気質、年功序列型労務管理(黙っていれば、上がる?)、あるいは、誰もが納得する人事評価をしているからなのか?
ところで、近年、部下が上司を評価する組織もあると聞く。授業評価職場版である。これができるのは職場構成員の間に信頼関係があり、評価をした部下に不都合不利益が生じないという大前提が存在する職場である。そして、そのような職場が本来あるべき組織の姿といえよう。
上からの評価であれ、下からの評価であれ、評価に納得できる、換言すれば評価を納得させる背景には評価者に対する信頼がある。そのような大学であるか、職場であるか。評価の時期には考えたい問いである。
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