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時流

いじめが起きない社会をめざして

   北海道大学名誉教授 前沢政次 

 いじめの認知件数が増加し続けており、また重大事態発生件数も増加している。

 文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等と生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、いじめの認知件数は平成24年から増え始め令和2年度やや減少したものの、その後はまた増加している。

 旭川いじめ再調査報告書がまとめられ、北海道新聞令和6年9月14日朝刊によると、この再調査委員会はSNSで発せられた被害者の言葉を、テキストマイニングと呼ばれる手法で分析を行った。注目されたのは「怖」「悪」などの言葉が頻回にあること。また、いじめの影響は一時的なものではなく、心的外傷後ストレス症候群として、その後の被害者の人生に深い傷を残してしまうことを指摘している。

 日本のいじめの特徴は「教室の中にいじめの加害者と被害者が同居していることにある」とされてきた。(森田洋司総監修『世界のいじめー各国の現状と取り組み』金子書房 1998)①教室で休み時間に発生することが多い。②いじめの加害者と被害者が同じクラスの同級生が70%から80%である。③心理的ないじめが多い(暴力系のいじめよりもコミュニケーション系のいじめが多い)。
 しかし、学校外のいじめの深刻化も問題視されている。

 そのため『生徒指導提要(改訂版)』2022年では「安全で安心な学校づくり・学級づくり」が提案されている。その内容は次の4点である。
 
① 多様性に配慮し、均質化のみに走らない学校づくり
② 児童生徒間で人間関係が固定されることなく、対等で自由な人間関係が築かれるようにする
③ 「どうせ自分なんて」と思わない自己信頼感を育む
④ 「困った、助けて」と言えるように適切な援助希求を促す

 2013年文部科学大臣決定、最終改訂2017年の『いじめ防止等のための基本的な方針』には次の言葉が述べられている。「他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定していると受け取られるような行為を許容したり、異質な他者を差別したりといった大人の振る舞いが子供に影響を与える」また「いじめからひとりでも多くの子供を救うためには、子供を取り囲む大人ひとりひとりが、いじめは絶対に許されない、いじめは卑怯な行為である、いじめはどの子供にもどの学校にも起こりうるとの意識を持ち、それぞれの役割と責任を自覚しなければならず、いじめの問題は心豊かで安全安心な社会をいかにして作るかという学校を含めた社会全体に関する国民的な課題である」

 子どもたちは大人の鏡であると聞く。学校は社会の鏡であると私は考える。しかし、学校を変えればいじめは防止できるのか。
 どの職場、いずれの家庭においても、人権の擁護、ひとりひとりの生きる勇気を尊重することが、今強く求められている。

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総務部事業振興課

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