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北海道の国保 令和7年(2025年)1月号

ー 時 流 ー

健康と幸福について思うこと

北海道千歳リハビリテーション大学 特任教授 森  満

 

 最首 悟(さいしゅ さとる)氏をご存じだろうか。東京大学教養学部で長く助手として過ごした生物学者で、和光大学名誉教授でもあり、現在86歳である。1960~1970年代の反公害運動のオピニオン・リーダーであり、水俣病に関する実地調査団の団長としても活動した。その頃には多くの著作があり、1970年代後半に医学部の公衆衛生学の分野に進んだ私は、その主義・主張に強く影響を受けたことを覚えている。

 その最首氏が2024年4月に「能力で人を分けなくなる日.いのちと価値のあいだ」(創元社)というタイトルの本を出版した。私は懐かしさから、この本を直ちに購入した。4番目のお子さんである星子(せいこ)氏現在46歳は、ダウン症に重度の知的障害を持ち、目が見えず、言葉を話さず、立つこと、歩くこともわずかで、一人では食事も排泄もできず、悟氏の奥様の五十鈴氏が世話をして、今日に至っている、という。

 著書の中で、最首氏は現在、ご自身は星子氏に支えられて、星子氏に頼って生きている、と書いている。そしておそらく、星子氏は五十鈴氏によって支えられていて、五十鈴氏は悟氏に支えられているのだと思う。このご家族を通して、健康とは何か、幸福とは何かを考えてみることは、とても重要であると思う。

 多くの人は重い・軽い、の違いがあっても、自分が何らかの病気や障害を持っていたり、あるいは、家族の中に病気や障害を持っている人がいたりするのではないだろうか。現在はそうでなくても、いつそのようになるかわからないという不安を持っている人も多いと思う。

 ところで、オランダの女性医師マフトルド・ヒューバーらヨーロッパの研究者が中心となり、2011年にBMJという医学専門誌に健康の定義に関する論文を掲載し、普及している。そこでは、「健康とは、社会的、身体的、感情的な問題に直面した際に、なんとかやりくりする力である」(松田 純訳)、と定義されている。

 また、アリストテレスや老子などのいろいろな哲学者や思想家は、洋の東西を問わず、紀元前から、「幸福は、自ら足れりとする人のものである」と記述している。そして、欲望を捨てて、現状に満足して生きている者は、精神的にも豊かである、と解釈されている。

 以上の健康の定義や幸福の概念から、ご本人がどう思っているかは分からないが、私から見て、最首氏ご一家は、家族として健康を維持し、幸福に暮らしていると思う。現在の日本では、サプリメントの宣伝を始めとして、健康に関する過剰な情報にあふれている。また、現状に不満感や不足感を抱かせて、誘惑するような広告にあふれている。そうした中で、「なんとかやりくりして健康を維持し、現状に満足していて幸福である」と思われる、最首氏ご一家のような暮らしを、理想として思い描いていくことが必要ではないだろうか。

◆お知らせ 
 令和7年1月号より、北海道千歳リハビリテーション大学 特任教授の森満先生が本欄の御執筆をしていただけることになりました。
 森先生におかれましては、札幌医科大学公衆衛生学講座教授としてご活躍され、その後、北海道千歳リハビリテーション大学学長を経て同大学の特任教授として人材育成に努めており、平成29年には札幌医科大学名誉教授の称号を授与されております。


ー 年頭メッセージ ー

 

 新年明けましておめでとうございます。
 令和7年の新春を迎えるにあたり、謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。
 皆さま方におかれましては、国民健康保険事業の健全な運営にご尽力をいただき、心より敬意を表しますとともに、本会の事業運営につきましても深いご理解と格別のご支援を賜り、厚くお礼を申し上げます。
 さて、国民健康保険は、制度創設以来、幾多の制度改正を繰り返しながら、国民皆保険体制の中核を担い、地域医療の確保と地域住民の健康な生活を支える重要な役割を担っております。
 しかしながら、急速な少子高齢化による超高齢化社会の到来や医療の高度化等により、社会保障関係経費が医療・介護分野を中心に増大傾向にあり、また、加入者の年齢構成が被用者保険に比べ高いことや低所得者の加入が多く、保険料(税)の負担割合が高いという構造的な問題を抱える中で、人口減少の進行、更には被用者保険対象者の拡大などにより被保険者の減少が加速しており、厳しい財政運営を余儀なくされ、今後もこのような状況が継続することと思われます。
 その一方で、国民健康保険と同様に地域保険である後期高齢者医療制度では、超高齢化社会の到来により、被保険者数の増加はもとより、医療費全体に占める割合も一層高くなることから、本会といたしましても北海道後期高齢者医療広域連合による安定した運営体制を確保するため、人的支援や受託事業を引き続き推進してまいります。
 これからは、人口減少などを背景に人手不足等が進む市町村等の医療・保健・介護・福祉の業務支援を総合的、専門的に行う機関として、あらゆる分野で市町村等支援を強化し、広域的に支援を拡充していく必要があります。
 そのために、本会では、デジタル技術を活用した業務効率化、人材の育成・確保に努め、組織の基盤を強化し、より一層の市町村等支援の強化と受託事業の拡充に本会を挙げて尽力してまいります。
 また、審査支払業務においては、厚生労働省、社会保険診療報酬支払基金、国保中央会の三者で策定した「審査支払機能に関する改革工程表」に基づき、審査基準の統一化や審査支払システムの共同開発・共同利用が進められており、審査支払業務改革が着実に実施されております。
 本会にとっては、審査支払業務は基幹業務であり、長年培ったノウハウを最大限活用して審査の水準を高めることはもとより、より一層、保険者のニーズに応えた審査の充実や高度化を積極的に進めてまいります。
 このような状況の中、国に強く要望しておりました、「国保総合システム」のクラウド最適化に伴う保守・運用経費につきましては、前倒しして令和6年度の補正予算において約32億円が措置されました。
 本会といたしましては、国保保険者の負担を抑制するため、その財源の確保に全力を挙げて取り組まなければならないと考えており、引き続き国庫補助の措置について国へ要望してまいりたいと考えております。
 さらには、将来にわたり国民が安心して生活でき、持続可能な社会保障制度を実現するために、全ての医療保険制度の一本化を実現することが極めて重要であることから、今後も粘り強く国に対して要請を行っていきたいと考えております。
 昨年末から健康保険証の新規発行が廃止され、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行いたしました。
 このようなマイナ保険証によるオンライン資格確認等をはじめとした医療・介護DXの取組は、全国医療情報プラットフォームの仕組みの中で、電子処方箋、予防接種事務のデジタル化、介護情報基盤の構築等の施策とともに、今後さらに推進されていくため、本会といたしましてもその役割をしっかりと果たし、保険者のニーズに応えた更なる支援や事務の効率化に貢献できるよう努めてまいります。
 予防・健康づくりにおいては、疾病・介護予防の取組がさらに重要な課題となっており、「北海道民が健康で豊かに過ごすことができる社会の実現」に向け貢献していくことを掲げ、「全世代型予防・健康づくり推進事業」を展開しております。
 「KDB Expander」を活用して、住民の健康診断結果やレセプトデータを基に、国保、後期、介護だけではなく、協会けんぽ北海道支部様のご協力を得て、被用者保険の情報も加えた分析、検証を行って、関係機関と連携を密にしながら、地域の特性に応じた効果的、効率的な予防・健康づくりが一層推進されるよう、引き続き「予防健康づくりの専門家集団」として、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後とも、保険者及び関係者の皆さま方から信頼され、期待される組織として、円滑な事業の推進に努めてまいりますので、より一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 新しい年が、皆さまにとりまして、実り多き年となりますことを心からご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。

 新年明けましておめでとうございます。皆様とともに新たな年を迎えられたことを、大変うれしく思います。
 昨年を振り返りますと、能登半島地震や各地での大雨など全国で大規模災害が相次ぎ、宮崎県沖で起きた地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。また、秋には、道内の農場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、防疫対策に取り組むとともに、物価の高騰による影響が長期化しており、本道経済の活性化を図るなど、道民の皆様の命と暮らしを守る思いを一層強くする年となりました。
 こうした中、本道のさらなる飛躍に向けた歩みが着実に進みました。
 国家プロジェクトである次世代半導体の製造拠点ではEUV露光装置が搬入され、着実に整備が進むとともに、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」が国に認められ、さらに、国の「GX2040ビジョン」の案が表示され、国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する北海道が、GX産業の適地として国内外から一層注目されようとしています。私自身、ニューヨーク州を訪問し、州政府関係機関と連携の枠組みを構築したところであり、先進地の知見も活かしてGX・DX産業の集積を目指します。
 また、念願が叶い「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生しました。多様な生態系が残る自然は世界に誇る財産であり、ヒグマとのあつれきの低減を図りながら、豊かな自然を守り、その魅力を広く発信してまいります。
 観光入込客数がコロナ禍前の水準を回復しつつある中、本道経済の発展に資する観光振興が図られるよう、宿泊税の導入に向け、検討を進めてきました。引き続き、関係の皆様の声を丁寧に伺ってまいります。
 そのほかにも、全国最多1,000人以上の地域おこし協力隊の活動や、パリオリンピック・パラリンピックにおける本道ゆかりの選手の活躍、アンテナショップ「どさんこプラザ」の過去最高売上の更新、北海道米「そらきらり」のデビューなどがありました。
 昨年、新たに策定した北海道総合計画では、北海道の力が日本そして世界を変えていく、そして、一人ひとりが豊かで安心して暮らせる地域づくりを進めていくことを、めざす姿として掲げ、この実現に向けた取組の中で、様々な分野で北海道の未来を切り拓く可能性や輝きを実感することができたと思っています。
 新しい年は、この計画を基盤としながら、道民の皆様の暮らしを守り、豊かな未来を築いていくため、大きな一歩を踏み出す年にしたいと考えています。
 防災体制の確立など命と暮らしを守る取組を最優先としながら、産業振興により地域経済を活性化し、さらには、我が国の食料・経済安全保障において役割を果たしてまいります。国内最大の食料供給地域として、農林水産業の持続的な発展に取り組むとともに、次世代半導体製造のパイロットライン稼働を大きな弾みとし、再生可能エネルギーや広大な大地、冷涼な気候など多彩な強みを最大限に活かして、AIなどのデジタル関連をはじめとする新たな産業や人、投資の呼び込みを加速させてまいります。
 そして、社会全体で子どもを支える「こどもまんなか社会」の実現への取組や、地域を支える人材の確保・育成を進め、さらに、戦後80年となる本年、一刻の猶予も許されない北方領土問題の解決に向け、返還要求運動に粘り強く取り組みます。
 本年は、道庁赤れんが庁舎のリニューアルオープン、知床世界自然遺産の登録20周年、ウポポイの5周年、北海道で57年ぶりの全国菓子博、北海道豊かな海づくり大会の初開催など、様々な節目の年でもあります。
 こうした機会も捉え、本道の自然、文化、産業などを国内外に発信し、人口減少をはじめ直面する課題を乗り越えていけるよう北海道の創生を進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 本年が、皆様にとりまして、輝かしい未来に向けた素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。

 新年あけましておめでとうございます。
 
 令和7年の新春を迎え、一言ご挨拶を申し上げます。
 皆様には日頃から国保中央会の運営に対しまして、ご支援とご協力をいただいておりますことに厚く御礼を申し上げます。
 さて、団塊の世代がすべて後期高齢者となる一方で、少子化は歯止めがかからず、生産年齢人口の減少が続いています。こうした人口構造の変化の影響等により、市町村国保の被保険者数も激減するなど、我が国の社会保障制度やその根幹を成す国民健康保険事業を取り巻く環境はますます厳しさを増しております。
 このため、国においては、持続可能な社会保障制度の構築を目指した、全世代型社会保障改革が進められており、給付と負担の見直しや、デジタル技術の進展に対応したサービス提供体制の改革等の取組が行われているところです。
 このような状況の中、本会においては本年、以下の四つの重要課題に取り組んでいくこととしています。
 第一に、「審査支払機能に関する改革工程表」に基づき、審査支払業務改革、とりわけ二年目を迎える保守運用費の削減のための国保総合システムの最適化を着実に実施してまいります。
 第二に、本年から来年にかけて更改を予定している介護保険審査支払等システム、後期高齢者医療請求支払システム、特定健診等データ管理システム等のクラウド化について、各システムの品質を確実に確保した上で、円滑なシステム切替に向けて適切な対応を行ってまいります。
 第三に、オンライン資格確認等システムの運用やこれを活用した様々な医療・介護DXの推進に関連する業務に取り組み、保険者の皆様の更なる業務の効率化やサービスの質の向上に寄与してまいります。
 特に「全国医療情報プラットフォーム」の構築の取組の中で「介護情報基盤の構築」や「予防接種業務のデジタル化」等について、本会が中心となって積極的に進めてまいります。
 また、昨年12月2日より、従来の保険証は新たに発行されなくなり、マイナンバーカードを活用したマイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところであり、その円滑な実施に協力してまいります。
 第四に、国保データベースシステムの改善・運用や国保・後期高齢者ヘルスサポート事業の実施等、国保をはじめ関係者の皆様がより効果的に事業を実施し、健康寿命の延伸につなげられるよう、国や関係機関との連携を図りながら、環境の整備に尽力してまいります。
 このように新しい年においても多くの重要な課題に直面しておりますが、令和7年の干支である柔軟性と適応力を象徴し、再生と変化を意味する「乙巳(きのとみ)」にあやかり、努力を重ね続けながら課題に取り組み、成長と変革の年となるよう努めてまいる所存であります。
 全国の国保連合会や全国知事会、全国市長会、全国町村会をはじめとする地方団体、国保組合、後期高齢者医療広域連合等の関係団体とも十分に連携を図りながら、保険者等の皆様の業務支援に総力をあげて取り組んでまいりますので、一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 結びに、新しい年が明るく希望に満ちた素晴らしい一年となることを心からご祈念申し上げまして、新年のご挨拶といたします。

ー 新春随想 ー

 新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、輝かしく希望に満ちた新春を迎えられたことと心からお慶び申し上げます。
 稚内市は日本の最北に位置し、宗谷海峡を隔てたわずか43kmの距離にロシア連邦・サハリン州(旧・樺太)を望む「国境のまち」です。また、国立公園に指定され50周年を迎えた美しい北方景観が自慢の「利尻礼文サロベツ国立公園」を擁し、稚内港からは利尻・礼文両島へ定期フェリーが運航されているほか、羽田・新千歳空港とは空の便で結ばれ、国内外から多くの観光客の皆様にお越しいただいています。本市の主な産業は「漁業」「酪農」「観光」で、広大な行政面積を持つ、宗谷地方の中核都市です。この豊かな自然が育んだ海産物や農畜産物を「稚内ブランド」として認定し、「食」のブランド化を推進することでその魅力を高め、地域経済や産業の活性化を図っています。また、この豊かな環境を守り次の世代へと引き継いでいくため全国に先駆けて、再生可能エネルギーの導入に取り組んでいます。日本屈指の好風況やなだらかな地形などから全国でも有数の風力発電の適地となっており、市内で稼働している風力発電の発電量は市内電力需要量を大きく超えています。
 また、本市は二酸化炭素の排出量の実質ゼロを目指すゼロカーボンシティを宣言しており、現在、建設中の新庁舎はその象徴とも位置付けております。新庁舎は「環境都市わっかない」のシンボルとなるZEB庁舎(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)となっているほか、市⺠が親しみ、気軽に訪れて集える拠点とし、また、緊急時は周囲の公共・公益機能等と連携しながら迅速に対応できる災害対策拠点としての機能を備え、本年初秋の供用開始を目指しています。
 さて、本市の国民健康保険の状況は、令和6年11月末現在で被保険者数は5,670人で加入率は18.6%となっています。また、道内の多くの自治体で直面している課題でありますが、少子高齢化の進行に伴い、高齢化率は34.3%(令和4年度末)で国や北海道の高齢化率を上回っている状況です。
 昨年策定した第3期国民健康保険データヘルス計画において生活習慣病対象者のうち高血圧を有している割合が80.6%と高く、こうした健康課題にあたっては生活習慣病予防や重症化を未然に防ぐため、特定健診が重要であると捉えています。また、高齢者の特性や状況に対応した切れ目のない支援を行うとともに、生活機能の低下を防止するため「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」を開始したところです。国民健康保険制度は、今後も被保険者の高齢化や医療技術の高度化等に伴い医療費の増加傾向が続くと予想されるため、財政運営の安定化をはじめ、効果的・効率的な保健事業の実施や地域医療提供体制の堅持などの様々な取組を展開し、市民一人ひとりがまちへの愛着と誇りをもって、いきいきと活躍し、安心して暮らし続けるまちづくりを目指します。
 結びとなりますが本年は巳年であり、「巳」は昔から豊穣や金運を司る神様であり神聖な生き物として認識されています。皆さまにおかれましても、今までの自分から脱皮し新しい自分に生まれ変わる、そのような可能性を信じ、健康で笑顔あふれる1年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のあいさつといたします。

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、希望に満ちた新年をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
 三笠市は、札幌市から52㎞、千歳市から68㎞に位置し、北・東・南の三方が山に囲まれたまちであり、まちの東側には1,000mを超える幾春別岳などの高い山々が重なり合い、自然豊かで肥沃な大地を形成しています。
 当市の歴史を振り返りますと、明治元年に幌内で炭層の露出面が発見され、明治12年に幌内炭鉱が開抗、明治15年に北海道開拓を目的として空知集治監が設置され、幌内炭鉱から石炭を輸送するための鉄道が北海道で最初に開通しました。明治19年には幾春別炭鉱が開鉱し、炭鉱町として栄えてきましたが、国のエネルギー政策の転換により平成元年に最後の炭鉱が閉山し、基幹産業を失いました。新たな産業の創出を図るため、当市では4つの大きなプロジェクトを推進しています。1つ目は、炭鉱が生み出した歴史と文化、三笠の自然を活かした三笠ジオパークを推進し、交流人口を増加させること、2つ目は、イオン農場との連携による農業活性化と農家や農業法人の安定運営、3つ目は、石炭地下ガス化による水素利活用製造実証事業、4つ目は、公立では道内唯一の食物調理科単科校として市立高校である北海道三笠高校の安定運営による、食による地域のブランド化を行っています。これら4つの事業は「教育・観光」という視点で相互に循環した効果を生み出しており、今後の新産業創造に向けた動きを見せ始めつつあります。また、三笠高校を核とした食によるまちづくりにも取り組んでおり、食による地域活性化、健康増進にも取り組むため、令和4年に食のまちづくり条例が制定されました。特徴的なものとしては、三笠高校生レストランがあり、高校生が仕入れから、調理及び接客を行っており、地域を活性化する大きな存在となっています。
 さて、当市の人口は令和6年10月末現在で7,314人、世帯数は4,412世帯です。このうち国民健康保険の被保険者数は1,422人で、世帯数は1,047世帯、加入率は19.4%となっています。国民健康保険加入者のうち前期高齢者が774人で、全体の54.4%を占めており、被保険者の減少及び高齢化が進んでおります。一人あたりの医療費は年々増加傾向にあり、国保事業の安定的な運営のため医療費の適正化に向けた取組が重要となります。
 このため、特定健診の無償化や各種がん検診、人間ドックへの費用助成を行い疾病の予防、早期発見による医療費の抑制に努めております。令和2年度からは国保連合会による特定健診受診率向上支援等共同事業に参加し、特定健診未受診者対策事業、生活習慣病重症化予防事業等を実施し特定健診の受診率向上、生活習慣病の未治療・重症化による医療費の増加抑制や医療費の適正化に取り組んでおります。
 また、国保のみではなく後期高齢者医療と、介護分野との一体的な保健事業の実施に取り組み、国保から後期への切れ目のない保健事業の実施による疾病予防・重症化予防対策、介護予防に取り組んでおります。今後も住民の健康意識の向上に努め、住民が健康な生活を送れるよう効果的な保健事業を推進してまいります。
 結びとなりますが、新しい年が皆様にとって健康で希望に満ちた1年となりますことを心から祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。

 令和7年の新春を謹んでお慶び申し上げます。
 
 蘭越町は、北海道の南西部に位置し、雄大なニセコ連峰に抱かれた、お米をはじめとする農産物と、泉質の異なる複数の温泉郷を有する自然豊かな町です。
 町の中央部を清流日本一に20回選ばれた尻別川が流れています。
 気候は比較的温暖ですが、冬は積雪量が多く、特別豪雪地帯に指定されています。令和6年1月7日から9日までの48時間で、降雪量が80センチに達し、昭和56年の統計開始以来43年ぶりに記録更新されました。
 蘭越町の基幹産業である農業は、肥沃な大地で特産品が数多く生産され、稲作をはじめ、トマトやメロン、大豆、ジャガイモなど季節によってさまざまな農産物にあふれています。
 中でも稲作は、おいしいお米の指標であるタンパク質の含有率を低く抑えることにこだわって生産され、おいしいお米日本一を決める「米-1グランプリinらんこし」において、6度のグランプリに輝くなど、良食味・高品質のブランド米「らんこし米」としても高い評価を受けており、ふるさと納税の返礼品としても大変ご好評をいただいております。
 現在、蘭越町を含むニセコエリアは観光開発が活発で、国内外から多くの観光客が訪れる地域となっており、特に「奥ニセコ」として農産物をはじめとする特産品、豊かな自然のフィールドを活かしたレジャーや四季折々の情景をお楽しみいただけます。
 令和6年11月末現在の人口は4,453人(2,378世帯)、そのうち外国人173人(132世帯)、国民健康保険の加入者は1,220人(722世帯)で加入率は約30%です。昨年は新型コロナ感染対策による入国規制等の緩和により、冬期間転入されてきた外国人加入者が増加し、ニセコエリアの特徴が蘭越町でも顕著となりました。

 蘭越町は後志管内16町村で構成されている「後志広域連合」に加入しており、広域連合が保険者機能を擁し、構成町村は保険税の賦課徴収、窓口業務、保健事業を行っております。
 令和5年度には第3期データヘルス計画を策定し、今年度も特定健診受診率向上対策の受診勧奨を引き続き進め、食生活や運動を合わせた生活習慣改善の保健事業の推進、コロナ禍で中止を余儀なくされておりましたミニバレーボール大会を、令和6年2月に4年ぶりで開催するなど、町民の健康増進の取組に寄与しております。
 今後も、町民の皆さんとの対話を重視して、住民が明るく元気に暮らせる「輝きの町」を目指していきます。

 結びになりますが、新しい年が皆さまにとりまして健康で幸せに満ちた1年となりますことを心からご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。
 

 新年あけましておめでとうございます。皆様には、令和7年の輝かしい新春の幕開けを迎え、心よりお慶びを申し上げます。

 更別村は、広大な十勝平野の南部に属し、令和5年に開村75周年を迎えた人口3,100人余りの自然に囲まれた農村地域です。とかち帯広空港から車で約10分、東京まで空路1時間30分と極めて交通のアクセスがよい環境にあります。
 基幹産業は、農業であり、主に、じゃがいも、小麦、ビート、豆類の主要4作物を栽培し、首都圏に出荷しています。中でもいんげんは、生産高日本一を誇ります。農家一戸あたりの耕地面積は平均で54ヘクタールあり、東京ドーム10個分に匹敵します。トラクター保有台数も農家一戸あたり平均6.7台、その内GPSトラクターが400台以上、さらにロボトラによる農作業、ドローンによる農薬散布や作物のリモートセンシングなどのスマート農業を早くから取り入れています。
 また、食糧自給率は6,800%(カロリーベース)と、計算上は22万人の都市の一年分の食料の供給が可能です。文字通り「日本一の大型農業の村」です。最近は、スマート農業やデジタル田園都市国家構想の先行事例のまちとして、度々、TVやマスコミにも紹介されています。
 また、医療分野では、令和3年に家庭医療学センターとの提携20周年の節目を迎えた更別村国保診療所があり、4人の常勤医師のもと、24時間体制で病気全般を幅広く診察しています。村歯科診療所との医療連携、院外調剤薬局の新設等により、医療体制の充実も図られています。
 いよいよ2028年を目標に、ガバメントクラウド導入による全国一律の行政DXの標準化が開始され、急速なデジタル化が開始されます。本村においてもデジタル田園都市国家構想交付金による「更別村スーパービレッジ構想」のもと、50を超える電子申請やコンビニ申請などの行政サービス、移動・健康・見守りなどデーター連携基盤を活用したサービスを開始し、「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」を掲げ、デジタルを活用した村民生活の利便性の向上に取り組んでいます。
 本村のマイナンバーカード交付率も85.4%と高く、保険証としての機能の充実や混雑した診療所のスピーデイな予約システムの構築、救急搬送時の本人情報、特定健診、服薬データ、ヘルスケア等を活用し、迅速・適切な救急対応の実施に向けた取組を開始しています。
 また、上記と連動してICTを活用した移動手段の確保、生体センサー装着による高齢者の見守り、眼科における札幌のクリニックとの遠隔診療の実施など、「おじいちゃん、おばあちゃんのQOL日本一の村」を目指しています。
 3年前からは、島根県に発するコミュニティナース3名が移住し、高齢者の日常生活の中から、ちょっとした変化を見つけ、健康相談や医療機関への橋渡しを行っています。
 昨年には、日本郵政、CNC(コミュニティーナース)、村の三者で連携協定を締結し、郵便局を活用した「町の保健室」も開設しました。
 さらに、高校生までの医療費や中学生までの給食費の無償化、予防接種や各種検診への補助、出産祝い金や高校までの入学祝い金等の子育て支援にも力を入れてきました。 
 特に、自然災害などで、最も懸念される医療・防災分野での通信網の遮断対策として、高速通信網である5Gキャリア基地局(7か所)を早くに設置し、昨年からは、スターリンク衛星の運用も開始して万全な医療・防災体制の確立に努めています。
 
 本村の国民健康保険の加入状況は、令和6年10月末現在で被保険者数は1,142人で、世帯数は467世帯、加入率40.0%となっており、社会保険適用事業所の拡大の影響もあり、近年加入率は緩やかな減少傾向が続いています。加入者のうち65歳以上の前期高齢者は321人で、被保険者全体の28.1%であり、今後も進む高齢化社会に向けて健全な国保運営と村民の健康で生きがいある生活を守っていくためには、生活習慣病やがんなどの疾病予防、早期発見を促し、医療費の適正化を図ることが特に重要です。
 本村では、従前から特定健診や各種がん検診の受診勧奨に取組、特定健診の令和5年度の受診率は62.1%で、北海道・国の平均と比較して高い状況を維持しています。がん検診などの各種検診・検査、全村民対象のインフルエンザ予防接種の助成のほか、各種予防接種の助成などにより、疾病の予防、早期発見・早期治療につなげています。令和6年度からは、村の国保診療所・歯科診療所と連携し、フレイル対策などの「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」にも取組始めました。
 また、健康な生活習慣を身につけるきっかけづくりとして、健診受診や健康づくり事業に参加するとポイントがたまる「さらべつ健康ポイントラリー」を実施しており、一定以上のポイントを取得した村民に対して景品をお渡ししています。
 なお、令和5年度は56名の参加があったところでありますが、今後も周知等に努め、村民全体の健康意識の向上が図られるよう、様々な事業を展開し、人口減少下においても村民一人一人が安心して暮らせるまちづくりを目指してまいりたいと考えています。
 昨年は、診療施設改修事業を行い、発熱患者の待合室、診察室の増築など感染症対策に適した改修により、診療待ち時間の短縮、利便性の向上を図りました。
 また、特筆すべきデータとして、診療所から村民の平均寿命の延伸に伴い、男女とも健康寿命との差が極めて小さく接近しているとの嬉しい報告も受けています。
 
 何よりも村民の皆さんの健康と暮らしを守り、20年後、30年後も豊かで持続可能な村の実現に向け、本年も「未来へつなぐ村づくり」に果敢に挑戦してまいる決意です。
 結びになりますが、皆様の益々のご健勝とご多幸を心からご祈念し、新年のご挨拶といたします。

ー 特 集 ー
 
      

はじめに

 2005年、日本循環器学会や日本呼吸器学会、日本口腔衛生学会など9つの医歯学会が合同で作成した「禁煙ガイドライン」において「喫煙は“喫煙病(依存症+がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など)”という全身疾患であり、喫煙者は“積極的禁煙治療を必要とする患者”」「喫煙すること自体が病気」と定義され1)、翌2006年から禁煙治療に公的医療保険が適用されることになった。仮に、「嗜好品」であれば、医療保険が適用されるはずがない。ちなみに、広辞苑第7版でも「嗜好品」から「タバコ」は削除され(2018年)、ウィキペディアでは自分でコントロールすることができない「嗜癖品」として扱われている。

I. タバコに起因する2つの依存

 タバコに対する依存性は、①「ニコチンに対する身体的依存」、②タバコがないと物足りないと感じる「心理的依存」の2つが強固に結びつくことで発生し、そのため禁煙を困難にしている。
 筆者もかつて典型的な「タバコ依存」の患者であった。浪人時代に喫煙を始め、大学に入ってやめられなくなり、呼吸器内科に入局しても禁煙できず、喫煙できる循環器内科の医局に行って教授に隠れて吸うほど重症の患者であった。今思うと、口臭や衣服についたニオイ(三次喫煙)で教授には私が喫煙者であることが分かっていたはずであるし、循環器内科の非喫煙者に受動喫煙の加害者になっていたことを猛省している。

1) ニコチンに対する身体的依存
 図1はフィリップモリス社による自社製品の紙巻きタバコ(マールボロ)と後述する加熱式タバコ(アイコス)を喫煙した場合の血中ニコチン濃度の推移である2)。いずれも、8分後に最高値となり、その半減期は約2.5時間であることが示されている。筆者がかつてそうであったように、喫煙者は一定レベルの血中ニコチン濃度を維持するために頻回にニコチン補給が必要な状態に陥っている。「依存」という観点からは加熱式タバコも同様であり、加熱式タバコの使用者もニコチン依存症として禁煙治療に誘導することが必要であり、公的医療保険も適用される。

2) タバコに対する心理的依存
 生活や仕事の様々な状況で喫煙していると、タバコがないと「口寂しい」「間が持たない」「物足りない」と感じるようになる。これが、心理的依存である。喫煙者との産業医面談では「仕事のストレスがあるから禁煙できない」と言い訳する人も多い。仕事中は誰しも1〜2時間おきにお茶を飲んだり、トイレに行くなど小休憩をとる。小休憩のタイミングは血中ニコチン濃度が低下した状態であり、喫煙によって脳内でドパミンやセロトニン、アセチルコリンが放出され、脳内報酬回路が刺激され多幸感が得られる。小休憩によるストレス解消とニコチン切れのストレス解消は区別ができないため、多くの喫煙者は「仕事のストレスがあるから禁煙出来ない」と勘違いする。
 また、ニコチン濃度が低下すると脳機能が低下する。その状態で喫煙すると脳がアセチルコリンにより活性化されて良いアイデアが浮かぶ。その結果、「タバコを吸うと仕事がはかどる」という現象が発生するが、それは本来の能力に戻るだけである。逆に言うと、禁煙から1~2時間後、ニコチン濃度が低下して脳機能が低下している状態はデスクに着いてはいるが本来の能力が発揮できていない潜在的なサボりということになる。

II. 職場におけるニコチン依存の問題点

 法律、ガイドライン、および、労働衛生の3管理、快適職場づくりの観点から、職場に喫煙者(ニコチン依存症の患者)が存在することの問題点について記述する。
 2020年に全面施行された改正健康増進法では、「望まない受動喫煙」をなくすことが求められている3)。具体的には、第一種施設(学校、病院、行政機関等)は敷地内禁煙、第二種施設(国会、一般企業、飲食店等)は屋内全面禁煙とする、あるいは、少なくとも喫煙専用室以外の共用スペースを禁煙とすることが求められている。

1) 作業環境管理:受動喫煙
 2000年代、排気装置を設置し、出入口で0.2m/sの空気の流れを発生させる喫煙室を設置することが推奨されたが、実際に運用してみると喫煙室の外でもタバコの燃焼によって発生する微小粒子状物質(PM2.5)が上昇することが認められ、タバコ煙の漏れは防止できないことが分かった(図2)4)
 喫煙室からタバコ煙が漏れる原因を以下に示す(図3)。
・ドア(蝶番式)のフイゴ作用による押し出し
・喫煙者の入退室による出入口の気流の乱れ
・肺に残った煙の禁煙区域での呼出

 特に、肺に残った煙の排出は約4分間続くため、喫煙後4分以内に職場にもどることができる場合、呼気に含まれる煙で受動喫煙が発生する。
 また、喫煙室の清掃を業者に委託している場合、担当者が高濃度の受動喫煙に曝露されることが防止できないという問題点も残る(図4)5)
 屋外に喫煙所を残した場合、風下25メートルでも粉じん計で検出できる「望まない受動喫煙」が発生する(図5)6)。さらに、清掃業者が「望まない受動喫煙」に曝露されることは屋外であっても変わりはない(図6)。改正健康増進法では、屋外であっても「望まない受動喫煙」を防止することが求められており法律を遵守できない。

 以上より、改正健康増進法が求めている「望まない受動喫煙」を完全に防止するためには、職場や公共施設を敷地内全面禁煙とした上で敷地周囲での喫煙も禁止する以外に手段はない。

2) 作業管理、労務管理、快適職場の観点:勤務中の喫煙禁止
 勤務中に喫煙ができる職場では、タバコ離席による職場離脱が発生し、以下の問題が発生する。
・喫煙者本人の作業効率の低下
・タバコ離席から戻ってくるまで待たねばならないことによる組織全体の効率低下
・タバコ離席中の電話や来客の応対等による周囲の負担
・喫煙後のタバコ臭による三次喫煙の被害
 三次喫煙とは、喫煙後の口臭や衣服から発生するタバコ臭であり、気管支喘息や化学物質に過敏な体質の者にとっては発作や気分不良の原因となる。持病がない人においてもタバコ臭は快適な職場づくりの妨げとなる。なお、喫煙後のタバコ臭は、2010年の厚生労働省健康局長通知で「残留タバコ成分」と定義され、注意喚起が行われている。
 喫煙前後の呼気・口臭に含まれる総揮発性有機化合物(Total Volatile Organic Compounds: TVOC)を測定したところ、喫煙前の状態に戻るまで45分必要であった(図7)7)。このデータが元になり、北陸先端科学技術大学院大学では喫煙後45分間の敷地内への立入が禁止され、イオングループでは職場に入る45分間前(出勤前、昼休憩)の喫煙の自粛を求めるなど、「45分間ルール」として広まりつつある。特に、サービス産業や営業職では「接客者がタバコ臭いと購買意欲が半減する」という調査もあり8)、企業に損失を与えかねない問題として検討するべきである。

3) 健康管理:喫煙関連疾患の予防
 健康日本21(第二次)で示されたように、高血圧と喫煙は日本人の主要な死因であり、喫煙による超過死亡数は毎年18万7千人である(図8)9)。その医療費は企業や国の健康保険に余分な負荷となるため、喫煙関連疾患(がん、脳卒中、心筋梗塞など)に罹患する前に禁煙治療費を補助して禁煙に誘導する企業が増えてきた。

4) 在宅勤務における問題点
 新型コロナウイルスの蔓延後、在宅勤務を取り入れる企業が増え、自宅で喫煙することによる近隣住宅への「望まない受動喫煙」が社会問題としてクローズアップされている。図9は集合住宅の2階のベランダでタバコを燃焼させ、上のフロアと同じフロアの隣家のベランダと窓を開けた室内でタバコ煙の濃度を測定した結果である10)。上のフロアだけでなく、同じフロアの隣家でもベランダから室内にタバコ煙が流入することが確認された。
 戸建て住宅の庭先で喫煙する場合、少なくとも半径25メートルにある住宅への加害者となる。台所の換気扇の下で喫煙した場合は、排気に含まれるタバコ煙によって同様の近隣住宅への被害が発生する。
 改正健康増進法では、屋外でも受動喫煙を発せさせない努力義務が規定されている。在宅勤務を行っている企業では、社員が近隣の家庭に対して「望まない受動喫煙」の加害者とならないように、喫煙する社員をゼロにすることは企業の社会的な責任と考えるべきである。

5) 加熱式タバコ
 令和4年の国民健康・栄養調査では、20〜30代の喫煙者の半数以上が加熱式タバコを喫煙していることが報告されている11)。加熱式タバコは粉末にした葉タバコを使用しており、紙巻きタバコから発生するほとんどの有害物質は、たとえ濃度が低減されていたとしても発生する。実際、紙巻きタバコの喫煙者に発生することが知られている急性好酸球性肺炎を発症し、ステロイドの大量投与、あるいは、人工心肺・エクモで救命された複数の重症例が報告されている。

 加熱式タバコのエアロゾルをラットに鼻部曝露した動物実験では、紙巻きタバコの曝露と同程度の肺気腫が発生したこと、また、心血管系の反応は同じであったこと、加熱式タバコを喫煙した妊婦から生まれた子どものアレルギー発症率が増えたことなどが報告されている。
 厚生労働省のホームページに公開されている2018年時点の「加熱式タバコにおける科学的知見」において、発がん性物質であるホルムアルデヒドは紙巻きタバコの15〜25%発生することが記載されており、長期間の使用で発がんするリスクも懸念されている(図11)。

 加熱式タバコの新聞等の広告では屋内で使うことが可能であることがアピールされているが、部屋を暗くして特殊なレーザー光線を照射すると周囲の空気を汚染することは明らかである(図12)。それを裏付けるように、加熱式タバコを使用する父親と同居している非喫煙の妻と子どもの尿からニコチンの代謝物(コチニン)と遺伝子障害の指標が検出されたことが報告された。
 「有害性化学物質を95%低減」をアピールすることで急速に蔓延した加熱式タバコであるが、毎年19万人の死者を発生させる紙巻きタバコを比較すること自体がナンセンスである。


6)最終的な解決策は「喫煙率ゼロ」
 2024年5月の日本産業衛生学会において、某大規模事業場(2,020人)の画期的な喫煙対策が優秀演題賞を受賞した12)。2020年で喫煙者367人(15%)に対して以下の施策を実施した。
・全体から個人への介入⇒本人、上司、人事部の三者面談
・社長から直筆署名入りの卒煙メッセージ
・採用、昇進、定年後継続雇用の要件を非喫煙
 2021年の喫煙率は9.2%、2022年は5.6%、2023年4月に2.2%、同年11月には0.3%(7人)まで下がり、2024年5月の学会発表時にはさらに1名が禁煙し、3年間で367人の喫煙者は6人にまで減少した(図13)。
 同様の対策をすべての企業が採用すれば、健康日本21(第三次)で掲げられている成人喫煙率12%の早期達成に貢献できると思われる。

おわりに

 タバコ1箱の値段が500〜600円(2024年12月)となり、公共的な空間や職場での喫煙が制限されても喫煙している人は、「吸いたいから吸っている」のではなく、「やめられないから吸っている」のである。
 改正健康増進法に伴って発出された「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(2019年)」では、本稿で紹介したような良好事例を衛生委員会等で紹介すべきことが記載されている13)。社員の健康は企業にとって資産である。仮に、心筋梗塞や脳卒中でベテラン社員が倒れた場合、新人を入れても戦力にはならない。
 逆に、喫煙者がゼロになれば、タバコ離席がなくなり職場全体のパフォーマンスが上がること、タバコ臭がない快適な職場環境になること、帰宅後や在宅勤務日に近隣家庭への加害者とならない、など良いことづくめである。すべての企業・団体が「吸わない社員100%」を掲げたタバコ対策を推進して欲しい。

参考資料:
1) 禁煙ガイドライン. 藤原久義,阿彦忠之,飯田真美,他.Circ J 2005; 69: 1005-1124.
2) Picavet P, Haziza C, Lama N, et al. Ludicke F, Comparison of the pharmacokinetics of nicotine following single and ad libitum use of a tobacco heating system or combustible cigarettes. Nicotine Tob Res. 2016; 18: 557- 563.
3) 厚生労働省.健康増進法の一部を改正する法律.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html(2021年11月30日閲覧)
4) 大和 浩. たばこ規制枠組み条約に基づいたたばこ対策の推進 第8条 たばこの煙にさらされることからの保護.保健医療科学 2016; 64: 433-447.
5) 大和 浩.職場の喫煙問題の現在.産業医学ジャーナル 2019; 42: 4-10.
6) Yamato H, Mori N, Horie R, et al. Designated smoking areas in streets where outdoor smoking is banned. Kobe J Med Sci. 2013: 59; E93-E105.
7) 大和 浩. 受動喫煙の影響に関する最新情報. 保健師ジャーナル. 2019; 75(02): 105-112.
8) 喫煙に関する意識調査. https://service.jinjibu.jp/news/detl/13012/ (2024年12月2日 閲覧)
9) 厚生労働省.健康日本21(第二次)最終評価報告書.
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001077214.pdf (2024年12月2日 閲覧)
10) Yamato H, Kato T, Jiang Y, et al. Secondhand smoke from a veranda spreading to neighboring households. J UOEH 2020 ; 42 : 335-338.
11) 厚生労働省. 令和4年 国民健康・栄養調査. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42694.html (2024年12月2日閲覧)
12) 久我佳奈, 末成美奈子, 小林玲子, 他. 「喫煙率ゼロ」に向けた3年間の取り組みとその成果〜全社員への感謝を込めて〜. 産業衛生学雑誌. 2024; 第66巻 臨時増刊号: p429.
13) 厚生労働省. 職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(令和元年7月1日 基発0701第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/000524718.pdf(2024年12月2日 閲覧)

ー Reportage ー
北海道柔道整復専門学校で、2022年度から一般市民を対象に介護予防教室「通いの場ハピネ」を開催し、好評を得ている。同校の教員と資格者が講師を務め、学生も講義の一環として携わっており、地域貢献と共に学生が高齢者と触れ合う学習の場にもなっている。

企業や行政の協力により開講

 取り組みのきっかけは、北海道柔道整復専門学校専任教員である名古屋佳奈さんが2021年に着任したこと。名古屋さんが以前勤務していた(株)ヤマチコーポレーションが運営する「きたえるーむ」職員からの助言により、一般市民を対象とした機能訓練の教室を学校で開催することを提案、同社や市内の地域包括支援センターの協力を受けて開講に漕ぎ着けた。
 同校は柔道整復師を養成する専門学校として開校し、卒業生を病院や整骨院、福祉施設等に送り出している。カリキュラムには整骨院等での実習はあるが、継続的な関わりを持つ機会はないため、学生指導と地域貢献の機会としている。学生は当初はボランティアとして自由参加だったが、2024年度は授業の一環として全員が携わることになった。
 2022年度から開始し、2024年度まで3年にわたり開催。1学期(7〜9月)、2学期(10〜12月)の2クールを設け、1クールの間にほぼ毎週の10回開講。受講は無料で、毎回10数名の申し込みがあった。
 一般市民向けの告知は、学内に併設する整骨院、札幌市内の公共施設等で開催されている介護予防教室「すこやか倶楽部」、社会福祉協議会等でチラシを配布している。回を重ねるごとに、口コミ・リピーターも増加。参加者は自力で来られる元気な高齢者が多く、学校の近隣だけでなく市内各地から参加者が集まっている。

学生と高齢者双方に成果が表れる

 初回と最終回には歩行テスト、膝屈伸力など6種類の体力測定を行い、変化を数値で実感できるよう工夫。開催の流れは、名古屋さんが準備運動を担当し、「きたえるーむ」から派遣されている柔道整復師の境佑哉さんによる健康講座を行い、最後に学生が考案したトレーニングを行う。学生は常に参加者の側に付き添い、支えが必要な時に転倒しないよう手を貸したり、目線を合わせて話し掛けたりと、高齢者に寄り添ったサポートをしている。教室は終始、笑い声と笑顔にあふれ、少しハードなトレーニングも個人に合った範囲で楽しみながら取り組める雰囲気だ。
 「最初は高齢者とどう接していいか分からず戸惑う学生が多いですが、少しずつコミュニケーションを取って活動をサポートできるようになると自信がつくようです。福祉施設での機能訓練に関心を持つ学生も増えて、進路の幅が広がりました。

 また、参加された方は効果が体力測定の数字に表れており、整骨院に通っていた方も体が動かしやすくなったと感想をいただいています。今後はこのような介護予防教室を運営するノウハウを積み重ね、人材を育てて市内各地に出向いて開催できるようにしたいと思います」と名古屋さんは手応えを語る。
 講師を担当する境佑哉さんも、「高齢者と関わりが少ない学生が、慣れてきて話しかけられるようになり、一体感が生まれる過程を見ることができました。参加者からは元気になった、ありがとうという言葉をいただいています。これからも活動を通して、高齢者の体の悩みを減らし、お互いに思いやりを持って生活できる元気と幸せの輪を広げたい」と話す。

三方良しの取り組みに

 この取り組みを無償でバックアップする同校の西巻英男教頭も、成果を実感しているという。「学生が地域の人との触れ合いを通してコミュニケーション力を高める良い機会になっています。そのため、卒業生が現場で即戦力になることができ、評価が高まってきました。この教室を提案し運営している名古屋先生は勤勉で実行力があり、将来指導者になる学生にとって目標となる存在です。参加されている高齢者にとっても、健康寿命が伸びるお手伝いになっていると思います。参加者、学生、学校の三方良しの取り組みになっているのではないでしょうか」。
 同校では、年代や障がいの有無に関わらず参加できるスポーツ・モルックの大会を主催するなど、地域貢献に取り組む。西巻教頭は、今後もこのような取り組みを続けていくと積極的な姿勢を見せる。

ー 北の恵み ふるさと健康料理 ー

八雲町の特産 ユーラップ軟白ねぎ


 生産者のこだわりが詰まった香り高く柔らかいねぎ
 渡島管内にあり、太平洋と日本海にはさまれた場所に位置する八雲町は2024年に木彫り熊100周年を迎えた歴史のある町です。
 基幹産業は農業、漁業の第一次産業で、農業では酪農や稲作、漁業ではホタテの養殖などが盛んです。その中で落部、東野、野田生地区で生産されているユーラップ軟白ねぎは北海道最大の産地を誇ります。農業用ハウスで栽培されており、生産者のこだわりが詰まっています。北海道の札幌、旭川、帯広の市場に出荷されています。寒くなり始めてからが美味しくなるユーラップ軟白ねぎは出荷の最盛期が初冬の11月から翌年の5月ころとなり食味、香りもとても豊かな特産品です。
 ユーラップ軟白ねぎは血液をサラサラにする硫化アリル、風邪予防に効くビタミンC、生活習慣病の予防になるベータカロテン、体を作る手助けをする葉酸、骨粗しょう症予防になるカルシウムなど食べて美味しく、体にも優しい料理に欠かせない野菜です。
 薬味として生で食べれば、軽やかな歯触りとすぐに来る甘み、そのあとにくる爽やかな辛味と鼻に抜ける香りを、鍋や炒め物の加熱調理では抜群の甘みを様々な調理法で楽しめます。
 今回はユーラップ軟白ねぎを丸ごと使った「ねぎたっぷりの鶏の照り焼き」と肉や魚など様々な料理に使用していただける「ねぎ塩だれ」のレシピをご紹介します。どちらの料理も簡単ですのでぜひ作ってみてください。
  
(レシピ・文/八雲町軟白ネギ生産組合 栄養計算/八雲町保健福祉課健康推進係管理栄養士 尾関あずさ)

贅沢!ねぎたっぷりの鶏の照り焼き













◆栄養価(1人分)
エネルギー355kcal、たんぱく質21.6g、脂質23.8g
炭水化物11.7g、食物繊維0.3g、食塩相当量1.6g
◆材料(2人分)
鶏もも肉皮つき……………… 1枚(250g)
ユーラップ軟白ねぎ………… 2分の1本(40g)
片栗粉………………………… 大さじ1
サラダ油……………………… 大さじ1
調味料
しょうゆ……………………… 大さじ1
みりん………………………… 大さじ1
酒……………………………… 大さじ1
砂糖…………………………… 大さじ2分の1
①  ねぎを白髪ねぎにして水につけておく。※ネギカッターを使うとすぐできます!
②  鶏もも肉の厚みを均等にして片栗粉をまぶす。
③  皮目を下にして焼き色が付くまで2~3分ほど焼く。
➃  裏返して1~2分ほど焼いて油をふき取る。
⑤  調味料を加え中火で煮詰める。
⑥  のねぎの水気を切って照り焼きに乗せる。

万能!ねぎたっぷりの塩だれ

◆材料(作りやすい分量)
ユーラップ軟白ねぎ(白い部分) … 2本
ごま油……………………………… 大さじ2
調味料
塩…………………………………… 小さじ4分の1
みりん……………………………… 大さじ1
うま味調味料……………………… 適宜
白いりごま………………………… 小さじ1
 



◆栄養価(全体量)
エネルギー339kcal、たんぱく質3.3g、脂質25.3g
炭水化物24.7g、食物繊維5.3g、塩分相当量1.0g
◆作り方
①  ねぎをみじん切りにする。
  調味料をボウルで合わせておく。
  ねぎと調味料を合わせる。
 ごま油を加えて混ぜ合わせる。

ー レオおばさんはレオナルド ー

裸足でバランス・エクササイズ

「二の腕・背中を引き締めるエクササイズ」と「ウエスト・お尻を引き締めるエクササイズ」

福岡永告子 FUKUOKA Etsuko(文)  シュミット・雅 SCHMIDT Miyabi (モデル)

全身の筋肉はつながりあって動いている

 姿勢を保ったり、体を動かしたり、意識的に動かすことのできる「骨格筋」は400種類もあるといわれています。そして人間の体は「張力」により全身の骨格筋が〝連動性〞をもって動いています。上半身を安定させるには体幹や下半身の筋力が必要ですし、下半身を安定させ効率よく動くにも上半身のパワーが必要不可欠です。
 例えば腕を振らないと速く走ることができないのは、誰もが経験的に分かっていることだと思います。それは腕振りのパワーが、下半身を素早く力強く動かすために役立っているからです。細かくいうと、腕を前から後ろに振る力は、その側の骨盤や脚を前に引き出すのに役立ちます。また、腕を後ろから前に振る力は、特に地面の下方向に力を伝えたり、接地中に上半身を前に進めたりする(速く走る)のに貢献しています。
 このように上半身、体幹、下半身の筋肉がバランスよく連動すれば、パフォーマンスの向上となるだけではなく、動きやすく疲れにくい体にもつながっていきます。

全身のバランスを保つためのセンサー

 今回ご紹介する「バランス・ストレッチ」では、できれば裸足で行ってみてください。
 靴を履いているときには通常使われない筋肉や筋肉群が活性化されます。この筋肉の活性化の増加により、筋力とバランスの向上につながります。
 足の裏には、メカノレセプターという感覚受容器があり、地面の情報を脳に伝えるセンサーの役割をしています。地面の凹凸や滑り、材質、傾きなどの情報を脳に伝えます。
 脳はその情報をもとに歩いたり、立ったりします。通常うまく作動していれば、足裏の情報を脳に伝えながらうまく体のバランスを保っています。
 ただ、このメカノレセプター、使わないと感度が低下してしまいます。
 このメカノレセプターの働きが鈍くなると、立位での安定性や姿勢、運動時の安定性も減少します。感度を良くするために
・足じゃんけんのグーチョキパー
・ゴルフボールを足の裏で転がす、つかむ
・足の指に手を組み合わせて回すなどいろいろな方法があります。
 足裏のメカノレセプターに適度に刺激が入る、裸足でできるバランス・エクササイズは1つ1つの動きの強弱は自分で調節できます。「二の腕・背中を引き締めるエクササイズ」と「ウエスト・お尻を引き締めるエクササイズ」と2パターンあります。パターンごと1つ1つ分けて動いてもいいですし、強度は高くなりますが、つなげて動いても構いません。
 裸足で全身を動かすことが大切です。ぜひ、試してみてください。
 また、裸足で運動する前に、そのエリアが危険ではないことを確認しましょう。

バランス・エクササイズ

バランス・エクササイズhttps://youtu.be/Y_RzdOJ5VKo
これまでの動画
https://k2-wellness.net/
メンバーページパスワード「Leo1989119」

今月のフィットネストーク 
 願いごと 

 Xmasのシーズン、スポーツクラブではサンタさんへの願い事を書いてツリーに飾ります。「ドラえもんを僕にもください」「サンタさん!僕の代わりに宿題をしてくれるロボットをください」「お父さんに髪の毛をプレゼントしてあげてください」「ママをきれいにしてあげてください」「長い手足と小さな顔になおしてください(共感です‼)」本気なのかウイットに富んでいるのかわかりませんが、微笑ましく読んでいます。願い事と言えば新年の初詣。手を合わせて願うのは「健康」。熊手は「開運招福」、お守りは「仕事御守」をここ数年は選んでいます。若いころは「運気上昇」とか「開運必勝」とか選んでいました。人生をかけるような大きな勝負事をしたわけではないのですが、バブル期にそしてバブル崩壊の波にもまれながら民間企業の一員として走り抜けてきた私もその時代は血気盛んだったのですね。今では共に歩んできた周囲の人たちの健康と幸せを唯一、第一に願えるようになった自分を改めて感じています。
 Xmasサンタクロースが両親であることを唯一疑わずに子どものころを過ごした私にとって、サンタクロースの存在を信じ願い事を書く子どものエネルギーに毎年、癒されています。その時その時の願い事を大切にしましょう!
 

令和5年度国民健康保険医療費通知の実施状況について

北海道保健福祉部健康安全局国保医療課

161保険者全てで実施

 医療費通知は、国民健康保険の被保険者に健康に対する認識を深めていただくとともに、国民健康保険事業の健全な運営に資することを目的として行うものであることから、実施にあたっては、道が示した「令和5年度国民健康保険事業運営に当たっての留意事項」等に則して、全受診世帯を対象に、受診年月や医療費の額等の6項目について、年6回以上通知するよう指導を進めているところです。
 今回は、各保険者から提出された「令和5年度医療費通知実施状況報告書」に基づき、道内の医療費通知の実施状況等について、その概要を報告します。
 

1 実施状況等(表1)

 令和5年度においては、161保険者全てが医療費通知を実施しています。
 なお、医療費通知の委託状況については、157保険者が国保連合会に委託、4保険者が保険者独自で通知の作成から発送までを行っています。
 また、ジェネリック医薬品の普及促進の一環として、医療費通知等の機会を利用して実施されるジェネリック差額通知については、令和5年度では156保険者が実施しており、令和4年度に比べ実施保険者数が1保険者増加しています。
 ジェネリック差額通知の委託状況は、133保険者が国保連合会に委託、19保険者が国保連合会以外の他の業者に委託しており、4保険者が保険者独自で通知の作成から発送までを行っています。

2 通知回数等(表2)

 医療費通知を年6回以上実施した保険者は、108保険者であり、全保険者の平均通知回数は5.0回となっています。
 なお、各保険者の令和4年度及び令和5年度における医療費通知の年間実施回数は表4のとおりです。

3 通知項目等(表3)

 医療費通知を実施している全保険者が、医療費の額を含む6項目について実施しており、平成10年度から通知対象とされた柔道整復師に係る項目についても、161保険者すべてが通知項目に加えた上で、医療費通知を実施しています。


ー こくほ随想

良書との出会い『活眼活学』PDF(807.17 KB)


 ー 会の動き ー

特定健診受診率向上支援等共同事業に係るナッジ理論講演会(12月4日開催)

なぜあの人は行動しない?―ナッジで受診促進―

 特定健診受診率向上支援等共同事業に係るナッジ理論講演会が12月4日に、国保会館で開かれ、道内市町村の特定健診担当者など27名が参加した。

 講師は青森大学客員教授の竹林正樹氏。行動経済学を用いた研究を行い、ナッジで受診促進を紹介したTED(テッド)トークがYouTubeで80万回以上再生されているほか、TV等でも活躍されている。

 第1部は最新のナッジ理論知見についての講演で、人の行動変容を促すきっかけとして阻害要因バイアス(バイアス=先入観や偏見)を抑制し、促進要因バイアスを味方にするために、ナッジを効果的に活用することが重要であるとの講演内容のほか、実例を交えた効果的なナッジの活用方法を講演いただいた。
 

  第2部は株式会社キャンサースキャン社長の福吉潤氏と「明日から使えるナッジ理論について」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
 受診対象者のバイアスを理解したうえで、効果的な受診促進を進めるにはどうしたらよいかなどの質疑が上がり、受講者からの質疑に回答する形でディスカッションが進んだ。

 会の冒頭で竹林氏から、「講演中は笑顔で頷きながら聞いてほしい」と話があり、プライミング効果(最初に受けた刺激がその後の判断に影響する)といったナッジの効果を実際に体験しながら講演が進み、終始和やかな雰囲気での講演会となった。

  受講者からは、「業務での具体的な活用場面がイメージしやすかった」「バイアスをどう捉えるかによってナッジが活きると思った」などの感想が上がり、次回についても更に踏み込んだ内容を希望する声もあった。

 同講演会は、10月の北見会場から始まり、12月の帯広会場まで計3会場で開催された。

令和6年度生活習慣病予防対策担当者研修会(12月11日Web開催)

糖尿病性腎症重症化予防の取組の推進に向けて

 令和6年度生活習慣病予防対策担当者研修会を12月11日、Web配信にて開催した。

 はじめに、旭川赤十字病院副院長兼糖尿病・内分泌内科部長の安孫子亜津子氏が、「糖尿病性腎症の重症化を予防するための保健指導と地域連携」と題して、対象者の優先順位の考え方や効果的な保健指導を実施するための医療連携のほか、最新の糖尿病治療の知見も盛り込みながら講義を行った。

 安孫子氏は、市町村が糖尿病性腎症重症化予防事業を行う目的として最も重要なことは、糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関未受診・受診中断者に対して、適切な受診勧奨、保健指導を行うことにより、治療に結びつけることであると述べた。また、糖尿病早期からの厳格な血糖コントロールや生活習慣病等の強化療法は、その後の心血管イベントや腎症イベントの発生リスクを下げることができ、早期発見・早期治療につなげるためにも健診受診率を上げる取組の重要性を伝えた。

 糖尿病性腎症による透析導入は、全国的にも全道的にも減少傾向にあるが、透析患者の高齢化や腎硬化症の割合が増えているなど新たな課題もある。透析患者が増えていることを鑑み、2016年に厚労省が「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を公表し、各自治体での取組を推進したが、北海道の広域性をふまえ地域の特性に沿ったプログラムの策定が必要であることが述べられ、旭川圏域での取組について説明した。

 また、市町村と医療機関との効果的な連携について、両者の特徴を活かした取組が必要であり、互いに理解し合い、関係性を築くことが重要であると述べた。連携のポイントとして、糖尿病連携手帳を活用することで、保健指導対象者のHbA1cの目標値を確認する必要があると伝えられた。

 安孫子氏が厚労省ワーキンググループのメンバーとして参加した「糖尿病性腎症重症化予防事業実施の手引き(令和6年度版)」をもとに、保健指導の優先的な対象の考え方や、保健指導のアセスメントにおいて、個々の暮らしをいかに知ることができるかが重要であることが説明された。

 糖尿病治療の目標は、「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLを維持すること」であり、血糖・血圧・脂質の良好なコントロール、適正体重、禁煙が重要となる。特に高齢者は、低血糖のリスクを回避するために、より個別性の高いコントロール目標が設定されており、重症低血糖が危惧される薬剤使用時のHbA1cの下限値の設定や、シックデイ時の休薬が重要である。薬の特徴や生活状況を踏まえて保健指導時にアドバイスできるとよいことが伝えられた。

 最後に健診を活用し糖尿病を早期発見・早期診断・早期治療することが大切であり、連携手帳を有効に使ってオール北海道で地域の健康を守っていきたいと述べ、全道の市町村へエールを送った。

 つづいて、旭川市福祉保険部国民健康保険課の蛇見祐美氏が「旭川市における糖尿病性腎症重症化予防事業の取組~旭川圏糖尿病性腎症重症化予防協議会の活動から~」と題して実践報告を行った。

 旭川圏糖尿病性腎症重症化予防協議会の活動について報告され、これまでの取組の成果として、勧奨後の医療機関受診率や透析導入者数の抑制もあるが、圏域で一体的に取り組むことで自分の自治体の強み・弱みを知ることができ、圏域全体で成果を上げることができていると述べた。

 また、取組を推進するためには、自治体の取組を医療機関に知ってもらうことが重要であり、医師会を巻き込んで作ったプログラムは最強の連携ツールであると述べ、協議会の活動を大切にし、顔の見える関係性を継続していきたいと伝えた。

保健推進員リーダー研修会(11月28日開催)

人と人とのつながりで健康な地域を

 令和6年度保健推進員リーダー研修会を11月28日(木)に、国保会館で開催した。
 本研修会は、保健推進員等の健康づくりリーダーが、健康で明るい地域づくりを行政と共に効果的に推進すること等を目的に実施している。


 仙台白百合女子大学人間学部健康栄養学科教授の鈴木寿則氏が「健康なまちづくりを目指して~今こそ大切な推進員活動」と題して講演した。鈴木氏は、国が進める国民健康づくり運動や健康日本21の変遷について説明した上で、日本における平均寿命と健康寿命の差や国民医療費の経年推移及び都道府県別一人当たり医療費等について具体的な数値やグラフを用いて、日本の社会保障費等の現状をわかりやすく解説。超高齢社会を迎える日本において「国民の健康寿命が延伸する社会の実現」のためには、健康づくりを通じたまちづくりが重要であり、そのためにも保健推進員等の存在が大変重要であることを述べた。



 講義後、地域の情報提供として、KDB Expanderにより作成した地域の健康レポートを用いて、北海道全体の健康課題について本会八巻保健事業課長補佐から説明。健診・医療・介護・死因の状況から、喫煙率や血圧・血糖の有所見者の割合が高く、脳血管・心疾患や慢性腎臓病につながり、腎不全の死亡割合の高さにつながっていることを説明した。
 その後、わがまちの健康づくり・地域づくりにつなげていただくことを目的として、地域の健康課題や地域における予防・健康づくりの取組についてグループワークを実施。高齢化による担い手不足の状況、健康づくりに関する優良事例などについて参加者間で情報共有を行い、その内容について全体発表を行い、閉講した。

介護認定審査会市町村等担当者研修会(11月21日開催)

介護認定審査会の効率化について情報交換

 
 介護認定審査会市町村等担当者研修会を北海道保健福祉部福祉局高齢者保健福祉課との共催により、11月21日に国保会館で開催した。
 はじめに、本会の野上審査部長があいさつし、介護ニーズの高い高齢者の人口は増加し、生産年齢人口は著しく減少する状況にあるなかで、地域包括ケアシステムに係る事業を推進する市町村においても、マンパワー不足や専門知識を得る時間も限られているといった課題に苦慮されていると推察される旨が伝えられた。


 続いて、道高齢者保健福祉課石川主査から、要介護認定の平準化に向けた取組ということで、道が実施する介護認定適正化専門員による技術的助言を活用する事業の紹介や、介護認定調査員向けe-ラーニングシステムを活用した審査事務局・認定調査員への研修実施を推進している状況が伝えられ、併せて、要介護認定審査件数が増加し、申請から認定までの期間が長期化したので、ICTの活用などにより審査の簡素化・効率化について推進してほしい旨の説明があった。
 事例発表では、網走市健康福祉部介護福祉課小沼課長から、介護認定審査会のオンライン開催とペーパーレスシステムの導入について、オンラインの導入の背景には厚生労働省の新型コロナウイルス関連通知が契機となり、北海道ならではの冬期間の問題もあり協議が開始され、医師からの賛同の声も多かったこと、DX・ICTの活用はメリットも多く、財政面で多少の負担があってもICTが進むのであれば、検討しない理由はないと伝えられ、参加者からも多くの質疑が寄せられた。

 
 各市町村の介護認定審査会における課題については、ワークショップ形式のグループで協議を行い、介護認定審査会のオンライン開催を検討しているがペーパーレス化の理解が進まないこと、主治医意見書の記載不備、個人情報のマスキングに苦労しているなどの課題が伝えられ、既にペーパーレスシステムを導入している市町村の状況に注目が集まった。
  
ー 国保制度改善強化全国大会 

国保の財政基盤強化のための確実な公費投入を

 国保中央会、都道府県国民健康保険団体連合会など国保関係9団体主催の国保制度改善強化全国大会が、昨年11月15日、東京・砂防会館で開かれ、「国保の財政基盤強化のための公費投入の確保を確実に実施するとともに、保険者努力支援制度等が有効に活用されるよう、適切な評価と財政支援の充実を図ること」、「国保総合システムは、国保運営の基幹システムであり、その開発や運用に当たっては、市町村等保険者に追加的な財政負担が生じないよう、国の責任において必要な財政措置を確実に講じること」など12項目の決議を満場一致で採択した。

 主催者団体を代表して挨拶に立った国保中央会の大西秀人会長(高松市長)は、今後ますます少子高齢化が進み、被保険者数が減少する中で、医療費水準の上昇はもとより、低所得者の増加といった構造的な問題は依然として続いており、更に昨今の物価上昇の影響などもあって、国保の事業運営は今後も厳しい状況が続くことが見込まれる。我々国保関係者は保険者機能を発揮し、引き続き全力で事業運営に努力していく必要があるが、一方で国保制度を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、国においてもその重要な責任をしっかりと果たしていただくことを強く求めていく」と挨拶した。

 来賓挨拶では、福岡資麿厚生労働大臣は、「今年1月から産前産後期間の保険料免除措置を導入し、4月には子ども医療費助成にかかる減額調整措置を廃止した。4月からは国保運営方針に基づく保険料水準の統一や医療費適正化といった取組を実施していただいている。保険料水準の統一は加速化プランを策定し、6月には加速化に向けた国による支援パッケージを取りまとめ、今後とも公平公正な制度運営が行われるよう引き続きご尽力をお願いする。また、保険者努力支援制度や国保ヘルスアップ事業などといった国保の予防・健康づくり事業に対して、引き続き積極的に支援していく。国保が国民皆保険の要としての機能を発揮していくため、皆さんのご意見を十分伺い、協力・連携をしながら制度の改革や適切な運用に努めて参りたい」と挨拶した。

 続いて議事に入り、「医療保険制度の一本化を早期に実現すること」をはじめとする決議を大会の総意として採択した。大会終了後には、決議の実現に向け、市町村長を先頭に与野党の国会議員や政府関係者への陳情活動を展開した。
 
【主催団体】国民健康保険中央会、都道府県国民健康保険団体連合会、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、全国国民健康保険組合協会

ー 北海道選出国会議員に対する陳情 
 11月15日の国保制度改善強化全国大会終了後、令和6年10月8日開催の令和6年第5回理事会において承認された「国民健康保険・介護保険に関する要望事項」について、本会理事11名及び北海道関係者1名で衆参両議員会館を訪問し、北海道選出国会議員に対して陳情を行った。面会できた6議員には直接、要望書を手渡した。(要望内容は次のとおり)

国民健康保険に関する要望

<医療保険制度に関する要望>
1 医療保険制度の一本化に向けた抜本改革を実現すること

 安定的で持続可能な医療保険制度を構築するため、国保関係団体の意見を尊重し、国の責任において医療保険制度の一本化に向けた抜本改革を実現すること。

2 後期高齢者医療広域連合にかかる安定的な運営体制を実現すること

 市町村からの派遣職員が中心で、専門的な人材が育成しにくい現状にある後期高齢者医療制度について、継続的かつ安定した運営体制を確立するための制度の検討を行うこと。
 また、広域連合に職員を派遣する市町村に対する地方財政措置の充実を行うとともに、国民健康保険団体連合会の職員を活用する広域連合に対する財政支援制度を設けること。
 
<国民健康保険制度に関する要望>
1 国民健康保険財政の安定のため国庫負担を拡充・強化すること

(1)国保財政基盤強化にかかる公費3,400億円の財政支援を拡充するとともに、保険料が上昇する保険者への激
変緩和措置に必要な財源を十分に確保すること。

(2)都道府県国民健康保険特別会計を安定的に運営していく上で、現行の財政安定化基金の規模は十分ではないことから、国による基金の積み増しや、不足額を補完するための全国単位の基金の創設など必要な措置を講じるこ と。

(3)オンライン資格確認等システムの確実かつ円滑な運用のため、国の責任において財政支援をはじめ必要な措置を講じること。

(4)「保険者努力支援制度」の評価指標等の見直しにあたっては、都道府県と市町村の意見を十分尊重しつつ、各保険者の医療費適正化等への取組に対する支援が目的であることを踏まえ、努力したすべての保険者が評価されるなど、地域の実情に応じた適切な評価指標とすること。

(5)市町村事務処理標準システムの導入など、制度改正や事務の標準化等により発生するシステム開発・改修等の経費については、市町村の負担増を招かないよう、必要な財政措置を講じること。
 
(6)普通調整交付金が担う自治体間の所得調整機能は重要であり、引き続き堅持すること。
 
(7)地方単独事業における医療費助成については、事業実施に伴う国庫負担減額調整措置を廃止するとともに、事業の重要性や必要性に応じて、国の制度として無料化するなど、国による統一的な制度を創設すること。
 
(8)低所得者層に対する負担軽減策をさらに拡充するとともに、特定世帯及び特定継続世帯にかかる保険料の軽減について財政措置を講じること。

(9)葬祭費に対する補助制度を創設すること。
 
(10)国保における子どもにかかる均等割額の軽減措置については、子育て世帯の負担を軽減するため、対象者及び軽減割合を拡大するとともに国が財政負担すること。
 
 
2 医療費適正化の推進に向けた支援を拡充・強化すること

(1)医療費適正化の取組を円滑かつ効率的に実施できるよう、都道府県及び保険者の意見を十分尊重し、地域の実情に配慮した必要な支援を行うこと。
 
(2)特定健康診査及び特定保健指導の受診率・実施率の向上や高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施など、予防・健康づくりの取組を強化、促進するため、保健師の確保及び人材育成など、より一層の支援策や人件費を含む事業経費等に対する十分な財政措置を講じること。
 
(3)社会保障制度を持続可能なものとしていくため、国保保険者が行う予防・健康づくり活動については、地域の実情を踏まえて国が確実な財政支援を行うこと。
  
3 国民健康保険組合の運営基盤の確保と財政強化を行うこと

(1)国民健康保険組合の安定的な事業運営を確保するため、普通調整補助金、特別調整補助金の交付基準について継続的な見直しを行うこと。

(2)国民健康保険組合の保険者インセンティブの予算規模を拡充し、評価指標についても保険者の取組がさらに推進されるよう見直しを行うこと。
 
4 国民健康保険制度の円滑な運営を確保すること

(1)被保険者の窓口負担を軽減するため、治療用装具にかかる療養費について、受領委任制度の検討を促進し、早期の導入を行うこと。

(2)外国人の保険料の収納対策について、必要な措置を講じること。
 
5 審査支払機関の業務効率化については、国民健康保険団体連合会の主体的な経営努力を尊重すること

(1)国民健康保険団体連合会は、国保の保険者が共同して設立した法人、すなわち保険者の連合体であることから、その組織と業務のあり方は、まず市町村等の保険者が考えるべきものであること。
 
(2)国民健康保険団体連合会と社会保険診療報酬支払基金の整合的・効率的なシステムのあり方について、国保総合システムの審査支払機能の共同開発においては、システムを利用する市町村等国保保険者の業務に支障を来たさないよう、国民健康保険団体連合会の意見を尊重しつつ国が主導的に対応すること。
 
6 国保総合システムのクラウド化に伴う保守・運用経費や支払基金システムと一部の機能を共同開発・共同利用するために必要な開発経費については、市町村等国保保険者に追加的な財政負担が生じないよう、国の責任において必要な財政措置を講じること
  
7 マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、国民及び医療機関に対し国の責任において丁寧な説明及び周知広報を行うとともに、保険者が行う資格確認書の交付などにかかるシステム改修経費や事務負担が過重とならないよう対策を講じること
 
<地域医療の確保に関する要望>
1 医師・看護師等の確保対策を充実すること

(1)産科医・小児科医・外科医・麻酔科医等をはじめとする医師、看護師等の不足や地域間・診療科間等の医師偏在の実態を踏まえ、安心で質の高い医療サービスの安定的な提供を実効あるものとするとともに、地域に根差した医師を養成するなど、地域を支える医師・看護師等を確保するべく即効性のある施策及び十分な財政措置を早急に講じること。
 また、勤務医及び看護師等の労働環境を改善するための支援策及び十分な財政措置を講じること。
 
(2)地方の自治体病院・診療所においては、医師不足が常態化している中、医育大学、中核病院等からの医師派遣によりかろうじて初期救急医療などを維持している状況にあることから、医師の働き方改革を推進するにあたっては地域医療の崩壊を招くことのないよう、地域の実情に応じた対策を講じること。
 特に、宿日直許可基準の運用を厳格に進めた場合、医療体制の維持が困難となることから、許可基準や回数等の取扱いについては、医師の健康に配慮しつつ、地域の特性を踏まえた柔軟な対応を講じること。

2 自治体病院・診療所に対する支援を拡充・強化すること

(1)地域の不採算医療を担う自治体病院・診療所は、依然として厳しい経営環境にあり、地域においては医療従事者を確保するため、高額な人材斡旋を利用せざるを得ないなど、医療提供体制の維持が極めて困難な状況にあることから、地域医療の経営基盤の安定化に向け、より一層の財政措置や支援策を講じること。
 特に、医師不足などやむを得ない理由による病床の休止等に配慮するとともに、地域医療構想に基づく機能転換等に対し、適切な財政措置を講じること。
 
(2)病院事業において生じる控除対象外消費税は、多くの自治体病院・診療所の経営に深刻な影響を及ぼしているため、自治体病院・診療所が診療報酬によって措置されている額を超えて負担することのないよう、診療報酬や消費税の制度見直しなど、必要な対策を講じること。
 
(3)医療法に定める医師及び看護師の人員配置標準数については、医療従事者の不足による過酷な労働環境を考慮するなど、地域の実情に即した見直しを行うこと。
 
(4)医師の充足率や看護師の月平均夜勤時間による診療報酬の減算措置等について、医師や看護師の確保が困難な地域においては、人員配置等にかかる診療報酬の算定を見直すこと。

(5)周産期医療体制及び小児救急をはじめとする救急医療体制の充実強化に向けて、実効性のある施策と十分な財政措置を講じること。
 特に、産婦人科医の不足や分娩取扱い施設の減少が深刻化している地域があることを踏まえ、抜本的な対策を講じるとともに助産師と医療機関の連携強化に向けた施策を講じること。
 
(6)病院経営においては、医療従事者の配置はもとより、施設の維持管理においても、使用の有無に関わらず、許可を受けた全ての病床を対象として管理運営することが求められている。
 こうした中、自治体病院に対する普通交付税措置において、従来、許可病床を算定基準としていたものを、近年、病院経営の実情と乖離するような使用実績を反映した病床数を算定基準とする見直しが行われている。
 この度のコロナ禍において、自治体病院の重要性が改めて認識されたところであり、今後も感染症など不測の事態に備えながら、地域に必要な医療機能を確実に確保することができるよう、病院経営の実情を踏まえた適切な財政措置を講じること。

(7)エネルギー等物価高騰によって、地域医療提供体制に影響を及ぼすことのないよう財政支援を講じること。
 
3 地域包括ケアシステムを推進すること

(1)地域包括ケアシステムの構築は、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する総合的な地域づくりであり、関係機関との連携が必要不可欠であることから、国をあげた取組として推進すること。
 
(2)市町村が地域包括ケアシステムを構築する際には、在宅医療と介護の連携強化を推進するため、国として必要な財政支援を講じること。
 
(3)在宅医療・訪問看護を推進するための基盤整備を進めるとともに、国として人材の養成や確保をすること。
 
4 地域医療介護総合確保基金を有効活用すること

 地域医療介護総合確保基金については、地域の医療及び介護サービスの提供体制の整備等に有効活用されるよう、市町村等の意見を十分尊重するとともに、必要な財源を確保すること。
 特に、民間事業者の参入が少ない中山間地域においては公的な医療機関が地域医療を担っている現状を踏まえ、基金の配分に十分配慮するとともに、必要な財政措置を講じること。

5 地域医療構想の推進にあたっては、地域の実情を十分に踏まえ柔軟に対応すること

 効率的な医療提供体制の構築を推進するため、急性期機能の集約化や医療機関の再編・統合など、地域医療構想調整会議において議論を重ねている将来における地域医療のあり方は、決して国が強制的に再編統合を押し付けるものではないこと。
 

介護保険に関する要望

1 地域包括ケアシステムの構築及び地域支援事業の運営にあたっては、必要な財政措置をはじめ、地域の実情に応じた介護人材の確保や事業者の参入が促進されるよう制度の見直しを行うなど、十分な支援策を講じること

2 介護保険財政の安定のため国庫負担を拡充・強化すること


(1)介護保険財政の持続的かつ安定的な運営のため、市町村の個々の実態を考慮しつつ、将来にわたって市町村の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう、国費負担割合を引き上げること。
 特に、国庫負担(居宅給付費の25%、施設等給付費の20%)のうち5%が調整財源(調整交付金)とされているが、これを外枠とするとともに、算定基準に介護保険施設の定員数を加味すること。

(2)「保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金」にかかる評価指標等の見直しにあたっては、地域の実情を踏まえ、都道府県と市町村の意見を十分尊重すること。

(3)低所得者に対する介護保険料や利用料等の軽減策については、国の責任において、財政措置を含め総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うこと。

(4)地域医療介護総合確保基金については、地域の医療及び介護サービスの提供体制の整備等に有効活用されるよう、市町村等の意見を十分尊重するとともに、必要な財源を確保すること。

(5)財政安定化基金にかかる財源は国及び都道府県において負担すること。

(6)介護保険事業の制度改正に伴うシステム改修経費等については、全額国庫負担とすること。

3 介護従事者の確保対策を充実すること

 現場において、慢性的に介護従事者が不足している状況にかんがみ、「介護離職ゼロ」を達成するため、介護従事者の確保・育成・定着と処遇改善の一層の推進に向け、財政措置の拡充と併せ、地域の実情を踏まえた実効ある対策を講じること。

4 介護保険制度の円滑な運営を確保すること
(1)訪問介護における介護報酬設定にあたっては、これまでの改定結果を十分検証し、サービス利用者が分散している地域の状況を勘案した収支差率へ見直しするなど、事業者等の実態を的確に反映すること。

(2)中山間地域や離島等においても居宅サービスが適切に提供できるよう、サービス提供事業者が推進しやすいような新たな支援策を講じること。

(3)居宅介護事業所が行う利用者送迎等について、地域特性(過疎地・へき地等)を踏まえた補助制度を創設するなど新たな支援策を講じること。

(4)施設入所者の補足給付に対する資産要件の確認にあたっては、市町村に過重な事務負担とならないよう必要な対策を講じること。

(5)社会福祉法人等における利用者負担の軽減制度について、対象者及び対象サービスを拡大するとともに、資産要件の確認にかかる負担を軽減するために必要な対策を講じること。

(6)要介護認定事務を全国的に標準化し、事務の効率化を推進するため、AIの活用を制度化するための研究を推進すること。

(7)エネルギー等物価高騰によって、介護事業所等の安定的な事業運営に影響を及ぼさないよう、必要な財政措置等を講じること。
 
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