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時流

地域医療2040年への備え

北海道大学名誉教授 前沢政次 

 医療機関からも福祉サービス機関からも悲鳴が聞こえる。
 2024年度の診療報酬、介護報酬の同時改定。診療報酬はプラス幅があまりに狭く、介護報酬の中で居宅介護に至ってはマイナス改定である。
 必要経費は物価高で高騰、人件費もそれに呼応するかのように増加し、診療および介護報酬は伸びない。それに加えて人材難。職員不足が止められない。しかも、患者数、利用者数が減少し始めている。今後どうなっていくのか。
 2040年には、高齢者人口の増加(高齢者が全人口の約34.8%を占める)、現役世代の急減(1.5人の現役世代が1人の高齢者を支える)、社会保障への影響(介護福祉の人手不足、社会保障費の増大)が問題となる。これらは日本の経済や社会保障に大きな影響を与える。
 筆者は2040年問題に関し、北海道京極町(当時人口約3,500人)、夕張市(当時人口約7,000人)で過疎地医療を経験し、おおよそ「予知できる未来」であると考えている。
 また、夕張市を辞して宮城県に係わることとなり、東日本大震災の後遺災害についても、心を痛めてきた。ひとつの例をあげると、災害公営住宅(復興住宅)入居者の孤独死がある。宮城県では2017年以降年間30~50人が孤独死している。岩手県、福島県が減少傾向にあるなか、宮城県は高止まりのままである。(河北新報 2025年2月20日朝刊)
 緩徐か急激かの違いはあれ、人口の減少や過疎化のプロセスでどのようなことが起こりやすいか、これらの地域から学ぶことが多い。
 予知できることは①スタッフなど働き手が減少する、②入院・入所者が減少する、③経済的に厳しい世帯が増加する、④人が孤立化しやすい、⑤高齢者・障がい者などが暮らしづらくなる、⑥支援困難事例が増加する、などである。
 準備すべきことは①施設のダウンサイジング、②人材の確保・育成、③ソーシャルワークの充実、④重層的支援、⑤都市部との連携、⑥ケアの質向上、などである。
 施設のダウンサイジングは比較的容易にできる。ただし、自治体立の施設では、地域住民の納得が必要だろう。方法としては住民集会でのワークショップ開催などがある。人材確保は難しい。先の見えない自治体に就職してくれる若者はほとんどいないからだ。その点は都市部との連携、特に人事交流に期待をしたい。
 医療と介護の連携も叫ばれて久しいが、さほど進展しない地域もある。原因はソーシャルワークが弱いことにある。まだまだ医療の側の理解が進んでいない。重層的支援は福祉の側から、高齢、障害、子ども、生活困窮の各制度のはざまを、相談支援、参加支援、地域づくりで補って行くものである。
 これらを通してケアの質向上が図られる。そのベースには地域に暮らす人、誰もが人権尊重され、居場所とつながりを確保できることである。2040年は近づいている。

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