会の動き
令和7年度生活習慣病予防対策担当者研修会
(12月24日開催)
高血圧疾患と治療に関する最新の知見、保健指導のポイントについて理解を深める
令和7年度生活習慣病予防対策担当者研修会を12月24日にWeb配信にて開催した。
はじめに、東北労災病院治療就労両立支援センター 予防医療部 部長 宗像正徳氏が「高血圧疾患と治療に関する最新の知見 -高血圧管理・治療ガイドライン2025の改訂点と保健指導に活かすポイント-」と題して講義を行った。
今回のガイドライン改訂では、高血圧管理・治療ガイドライン2025として「管理」という言葉を加えて名称変更し、血圧が120/80mmHgを超えた全国民に血圧上昇を抑制する生活習慣の改善を推奨している。
また、日本人に多い食塩感受性の体液貯留型高血圧に対して早期から適切に治療できるよう薬物治療の内容も大きく変更したと説明した。
高血圧の疫学として、この50年間に日本人の女性では収縮期、拡張期血圧がすべての世代で低下したのに対し、男性は収縮期血圧の下がり幅が小さく、拡張期血圧は60代未満では悪化傾向にある。特に、50代男性の有病率が増加し、先進12か国と比較しても日本人男性の高血圧有病率が高いことに言及し、日本全体で血圧の平均値を下げるポピュレーションアプローチが重要であると述べた。
宗像氏は、日本人の高血圧は、食塩が体内に貯まる食塩感受性の体液貯留型高血圧が非常に多く、減塩のための食環境整備が重要であること、また、男性の血圧が下がりにくい背景には、肥満も大きく関わっており、食だけでなく身体活動を増加させるような地域ごとの環境整備が必要であると強調した。
高血圧予防の視点からいえば、血圧が上がりはじめる前の、小児期からの教育と啓発が大切であるとして、各地域の特徴、特性を考慮した社会的対策を進めることが、保健師の腕の見せどころと思うと述べた。
降圧目標は、年齢を問わず130/80mmHg未満とされ、健診で高血圧を発見されてから治療開始が遅れるほど予後不良となるため、1年以内に130/80mmHg未満にコントロールすることが重要であると説明した。
薬物療法の主な変更点について、「少量のサイアザイド系利尿薬の使用推奨」「高リスクやⅡ度高血圧以上の患者における半量併用による治療開始の推奨」「食塩感受性の体液貯留型高血圧の多い日本人向けに、利尿作用を有する新薬の早期利用を可能にしたこと」を挙げた。

最後に、高血圧治療は、血圧を下げることはもちろんのこと、治療を継続することが最も重要である。きちんと薬が服用されないまま心・脳血管疾患を発症する方が多く、健診で改善がみられない方では薬を飲んでいないことも多い。血圧をコントロールする上で、患者が治療に納得し、服薬を継続することが大変重要になるので、住民に寄り添い、治療への思いを聞き取り、医療機関と情報共有していただきたいとまとめた。
続いて、同病院治療就労両立支援センター 予防医療部 保健師の根本友紀氏が「成人期、高齢期の特性をふまえた効果的な保健指導の実際-多職種によるチーム医療-」と題して講義を行った。
根本氏は、センターでの個別指導は、保健師、管理栄養士、理学療法士の3職種が関わり、アセスメントや情報共有を常に行っていると紹介。
血圧を下げる生活習慣改善項目として、減塩とカリウムの積極的摂取がガイドラインに掲載され、尿Na/K比の至適目標値は2未満、実現可能目標値は4未満とされているが、目標値は、健康な方を対象に設定されており、CKDでカリウム制限が必要な方など、疾患を有する方については適用されないこともあるので、主治医との相談が必要であると説明した。
減塩とカリウム摂取を増やすポイントとして、味覚が正常かどうか、塩味感度の低下がないかを確認することが必要であるとし、舌の表面にある味蕾(味を感じる器官)は、10日から2週間ほどで入れ替わるので、塩味感度を改善することが重要であるとした。その他、うまみを利かせる、こっそり、家族で減塩する等の減塩策を紹介した。
運動療法については、有酸素運動に加え、レジスタンス運動、これらを組み合わせた複合運動も有意な降圧効果があると説明。個々の病態やライフスタイルに応じた運動を選択する必要があり、足腰の弱い方でも取り入れやすいハンドグリップを使用する握力トレーニングを紹介した。
また、後半では、事例をもとに病態のアセスメント、生活改善のための行動目標の設定等指導のポイントを解説した。
高血圧の治療には服薬を継続することが重要だが、外来では、主治医に良いところを見せたいと思う方もおり、保健指導の場面で内服していないことを伝えてくれることもある。薬の必要性や重要性を理解していない方もおり、コメディカルが十分に話を聞いて思いを共感することが大切であると述べた。
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